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「フィルムメーカーではなくジャンルビルダーだ」希代のヒットメーカー、紀伊宗之氏

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2021年の映画界について語る東映プロデューサーの紀伊宗之さん=東京都中央区で2020年12月25日、藤井太郎撮影
2021年の映画界について語る東映プロデューサーの紀伊宗之さん=東京都中央区で2020年12月25日、藤井太郎撮影

 コロナ禍にほんろうされる映画界の2021年を占うキーパーソンへのインタビュー企画、2回目は東映の紀伊宗之プロデューサー。昨年はプロデュースした清水崇監督のホラー映画「犬鳴村」がヒットし、その続編「樹海村」を早くも撮影。さらに18年のヒット作の続編「孤狼の血Ⅱ」も撮了した。コロナに負けず、活躍が続く。

「2時間の面白いものを見たい」は変わらない

 ――コロナ禍をどう受け止めましたか。

 ◆昨年の春先はどうなるかと思ったが、ぼくらの仕事は変わらないと気づきました。映画作りは、2時間のフォーマットのドラマを作るということ。出口が映画館というだけ。シワ寄せはいろんなところに来ていて、産業としてはしんどいです。でも観客の、2時間の面白いものを見たいという欲求は変わっていない。

 ――映画界の活動が制限された昨年も、「犬鳴村」が公開されてヒットし、続編「樹海村」の公開、「孤狼の血Ⅱ」の撮影と、勢いが続きますね。

 ◆2月中には(東映グループの)岡田裕介会長(当時、故人)から、「次やれ、来年同時期に公開しろ」と号令がかかり、緊急事態宣言中にシナリオを作り、リモートでオーディションをし、宣言が明けてすぐに撮影準備にかかりました。

 撮影現場の対策マニュアルを作って徹底し、予算も余計にかかるのを覚悟した。スタッフ、キャストとも本音は「大丈夫なの」と思っていたでしょうが、「撮ります」と言い続けました。監督が感染したらどうするかと聞かれたときは、「代わってもらいます」と。主演だけは代えられないけど。製作委員会に委ねたら「責任が取れない」と言われて撮れなくなる。でもぼくはプロデューサーだから、映画は撮る。最初に製作再開した「樹海村」がやれるなら、他もやれる。一貫性が問われていたんです。負担はかかったけれど、不安はありませんでした。

強まる優勝劣敗 まずはチャレンジ

 ――今後、映画の内容は変わるでしょうか。

 ◆人の大切なもの、価値観の変化は、これから顕在化していくのではないですか。企画も変わると思います。興行は一気に回復はしないでしょう。映画館に行くのが危険と思う人は、少なからずいるでしょう。実際に危険かどうかより、心理的な問題です。コロナ前にそんな心配した人は、一人もいなかったんですから。製作費はコロナ対策費が上乗せされて上がり、回収率は下がっていく。作品ごとの優勝劣敗が甚だしくなると思い…

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