元プロサッカー選手・中村憲剛さん 「挫折を機に自分を知った」 成功に導いた〝考える癖〟

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
18年間所属した川崎フロンターレのエンブレム前で撮影に応じる元プロサッカー選手の中村憲剛さん=川崎市高津区で2021年1月22日、竹内紀臣撮影
18年間所属した川崎フロンターレのエンブレム前で撮影に応じる元プロサッカー選手の中村憲剛さん=川崎市高津区で2021年1月22日、竹内紀臣撮影

 昨季限りで、サッカーJリーグ・川崎フロンターレでの18年にわたる選手生活に別れを告げた中村憲剛さん(40)。子どもの頃、小柄だった中村さんは、いくつもの逆境を乗り越えてきました。その人生で、どんな「学び」を積み重ねてきたのでしょうか。ふだん教育取材を担当する記者が聞きました。【聞き手・千脇康平、写真・竹内紀臣】

「考える癖」

 まず、強調しておきたいことがあります。それは、勉強とサッカーは両立させないといけないということです。良い成績を取れればもちろんいいですが、勉強をちゃんとして頭を働かせる、考える癖をつけることが何よりも大事なんです。

 「勉強するということは、考えること」

 サッカーにおいても、思考が大事なんです。例えば、自分がうまくなるには、どうしたらいいか。思考を鍛えるのは、学校の勉強だと思っています。考えることはサッカー以外のスポーツでも大事ですよね。だから、自分の子どもにはいつも「勉強をちゃんとやらないと習い事には行かせないよ」と言い聞かせています。小学6年の息子と小学4年の娘ですが、本当に行かせません。俺、こう見えて結構厳しい親です。「勉強をやりなさい」とは言いません。自分からやる気持ちを持つことが大切だと思うからです。

 日常生活でも方針は同じです。「遅くまで起きていてもいいけど、それで身長が伸びなくて泣くのは自分だからね」とか……。夜更かしして、朝眠そうにして、朝ご飯も大して食べずに学校へ行って。その結果どうなるか、だいたい自分の経験で分かっていますから。親としてでもありますけど、一人の先輩としてアドバイスするように心がけています。説得力あるじゃないですか。けど……なかなか聞いてくれないですね、親だからこそ。

 こういう方針は、親譲りかもしれません。「やってもやらなくてもいい。でも、責任を取るのは自分だよ」と小さい頃から言われて育ちました。いざ自分が親になってみて、親の言葉を変換して伝えているんです。自分がそういう言葉に小学生から触れたことで、いろんなことを考えるようになりましたから。自分の中で、何が一番大事か。サッカーだ。じゃあ、それに全力を注げるようにするにはどうマネジメントしたらいいんだろう。考えた結果、俺は、勉強は文句を言われないくらいにやっておくと決めました。大好きなサッカーのためにです。

最大の挫折……「自分に絶望した」

 サッカーを始めたのは小学1年の頃です。母が、この子は投げたり打ったりするよりも蹴る方が楽しそうにしているからって考えたのが理由です。通うことになった地元の公立小学校にはサッカーチームがなくて、家から自転車で20分くらいの場所で練習していたチームに入りました。練習が週6日であったので、放課後はサッカー漬けの毎日です。チームの方針だった「サッカーは楽しむもの」を自然と学んでいきました。

 小学校時代は、「明るく活発な」という言葉が各学年で枕ことばのように通信簿に書かれていました。文系で、算数は苦手。好きな教科はなかったけれど、勉強が大事であるということは理解していました。だから、70~80点くらいで「文句はないでしょ」ってくらいに頑張りつつ、余ったパワーをサッカーに全て注いでいました。自分がやれることをやらないで成績が悪いのが嫌だったんです。だからといってすごく勉強したわけじゃないですよ。でも、学校の中で完結させていました…

この記事は有料記事です。

残り5015文字(全文6417文字)

ご登録から1カ月間は100円

※料金は税別です

あわせて読みたい

注目の特集