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コロナ下の春闘 労使で課題克服の道筋を

 新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに不安がぬぐえない中、春闘がスタートした。

 経団連は事業継続と雇用維持を優先する交渉方針を掲げ、横並びの賃上げには難色を示している。

 連合は2%程度のベースアップ(ベア)を目指す。ただ、傘下の労働組合には、業績に見合う落としどころを探る傾向が広がっているようだ。トヨタグループの労組は統一要求を見送った。

 宿泊や交通など、収益が大幅に悪化した企業にとって、賃上げのハードルは低くない。

 しかし、巣ごもり需要やデジタル化、中国経済の持ち直しで、業績が急回復している企業もある。

 賃金抑制の動きが強まれば、消費が低迷し、経済は一段と悪化しかねない。ここ数年続いた賃上げの流れを止めるべきではない。

 コロナ禍では、雇用を巡る課題が浮き彫りになった。

 深刻なのは、雇用形態による格差である。同一労働同一賃金などの制度が導入されたにもかかわらず、コロナ禍で職を失った働き手の多くは非正規社員だった。

 労組は従来、正社員の待遇改善を優先してきた。しかし、働き手の約4割を占める非正規社員に寄り添わなければ、存在意義を失うことにもなりかねない。

 介護や小売り、物流など生活を支える職場の待遇改善も急務だ。産業ごとの労働団体が個別の労使交渉を支援するなど、交渉力を高める工夫が求められる。

 将来を見据え、企業の活力を高める手がかりも見えてきた。

 テレワークが広がり、場所や時間を問わない働き方への理解が深まっている。長時間勤務が難しい人も、活躍の場が広がる。

 働きがいと生産性の向上を両立させる人事制度など、新たな働き方を支える仕組みを議論すべきだ。単身赴任といった慣行は再考を求められよう。

 収益が悪化した企業では、従業員を一時的に他社へ出向させる動きも出てきた。雇用を維持するためとはいえ、働き手には戸惑いもある。同意取得などルールの明確化が不可欠だ。

 競争力を高める上で、職場の一体感や人材の確保は優先課題である。労使が知恵を絞り、課題を解決する時だ。

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