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菅首相の予算委答弁 これでは議論が進まない

 緊急事態の宣言下、衆院予算委員会が開かれた。

 新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する中での論戦だ。自宅療養中に亡くなる患者も相次いでおり、コロナ対応や第3次補正予算案を巡る突っ込んだ議論が期待された。

 ところが、菅義偉首相は国民の不安を払拭(ふっしょく)するメッセージを出さなかった。相変わらず官僚のメモを読み上げる場面が目立った。

 医療体制については、新たに病床を確保した医療機関への支援金制度を設け、厚生労働省に指示していると強調した。

 だが、金銭的な支援があっても、コロナに対応できる人材や施設がない民間病院が病床を増やすことはできない。金銭で解決できない問題をどう乗り越えるのかが問われているのに、明確な答弁はなかった。

 医療機関への支援策が利用されていないと追及された場面では、「なぜ回らないんだと関係大臣に強く指示している」と述べた。これでは責任は厚労相にあると言わんばかりだ。

 批判が強い「答弁を控える」という言い回しについては、これを封印し、「指摘を受け止める」などの表現を使った。しかし、対策や方針にどう生かすのかを具体的に語らなければ議論にならない。

 首相の答弁には、自身の判断は間違っていないという思い込みと、一度決めたら変えないというかたくなな姿勢がうかがえる。

 宣言下で再開のめども立たない「GoToトラベル」について、延長経費として約1兆円を予算案に計上しているのもその一つだ。

 予算を削除し、医療体制の整備などに使うべきだという野党の要求を、首相は「しかるべき時期に事業再開する時に備えて計上する」とはねつけた。

 首相はGoTo停止の判断は遅れたわけではないと主張した。だが、専門家は、GoToが感染拡大に影響を及ぼした可能性を指摘している。

 コロナ対策の実効性を上げるためには、国民の協力が欠かせない。首相が自分の言葉で方針や目標を説明し、問題点があれば率直に認めて改める柔軟さが必要だ。それがないままでは、国民との距離は広がるばかりだ。

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