自衛隊から不満の声 出口なき中東派遣 「なし崩しの延長」

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中東へ向け海上自衛隊横須賀基地を出港する海自護衛艦「たかなみ」=神奈川県横須賀市で2020年2月2日、本社ヘリから
中東へ向け海上自衛隊横須賀基地を出港する海自護衛艦「たかなみ」=神奈川県横須賀市で2020年2月2日、本社ヘリから

 中東海域に派遣されている海上自衛隊の情報収集活動が1月、2年目に突入した。政府は中東地域が「高い緊張状態」にあるとして派遣延長を決めたが、防衛省や自衛隊には「国会で目立った議論もなく、なし崩し的に延長された」との不満もくすぶる。

繰り返される「異常なし」

 2020年12月20日、海上自衛隊の護衛艦「すずなみ」が乗組員約210人を乗せて大湊(おおみなと)基地(青森県むつ市)を出航した。その1カ月後、前任の護衛艦「むらさめ」に代わって中東海域で情報収集活動を始めた。政府が海自の中東派遣1年延長(21年12月26日まで)を閣議決定してから、初めての派遣護衛艦交代となる。

 日本関係船舶の安全を確保する名目で始まった中東派遣は20年1月20日、洋上から監視するP3C哨戒機でスタート。翌2月26日に護衛艦も加わった。活動範囲はアデン湾やアラビア海北部、オマーン湾の3海域の公海。20年末までにP3C計8機と護衛艦計3隻が任務に当たり、5万5837隻の船舶を目視やレーダーで確認している。

 防衛省が毎月発表する活動状況報告では「特段の異常は確認されていない」とする文言が繰り返されている。派遣延長について防衛省内では「地域の安定に貢献でき、意義がある」との声がある一方、懐疑的な見方も出ている。ある自衛隊幹部は「『こんな情報が必要だから続けよう』といった前向きな理由からの延長とは思えない」と首をかしげる。そもそも当初から任務が曖昧だった。「情報収集」が主眼で、海自がアデン湾で実施している海賊対処のような明確性に乏しい。広大な海域で同時に活動するのは最大でもP3C2機と護衛艦1隻だけで、実効性も疑問視されていた。

「中東情勢は緊張続く」と政府

 派遣の背景には、米とイランの対立を核とする情勢不安があった。ホルムズ海峡付近で19年6月、日本の海運会社が運航するタンカーが何者かの攻撃を受ける事態が発生。イランの関与を主張する米政府が各国に艦艇の派遣を呼び掛けるなか、日本は米・イラン両国に配慮し、イランに近いホルムズ海峡などを活動海域から除外したうえで、海自を独自派遣する道を選んだ。その後に同種の襲撃は起きておらず、防衛省幹部は「危険な事態に至っていないことが活動の成果と言えるのでは」と受け止める。これに対し、ある自衛隊関係者は「海自の活動との因果関係は証明できない。むしろ…

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