他殺か、中毒死か ピンクに染まった遺体の歯は何を語っているのか
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他殺か、それとも中毒死か――。被害者の死因について検察側と弁護側が全面対決した殺人事件の刑事裁判で、東京高裁が2020年12月、判決を言い渡した。被告が無罪を主張し、目撃者もいない中、検察側と弁護側は、遺体に残された一つの「手がかり」を巡って激しく争った。それは、ピンクに染まった被害者の歯だった。【巽賢司】
遺体を捨てたことは認めたが……殺害は否定
起訴されたのは元飲食店アルバイトの佐藤一麿被告(35)。検察側が描いた事件の構図はこうだ。
佐藤被告は、東京都新宿区のマンションに住む被害者の女性(当時25歳)と5年以上交際していた。だが、別の女子大生とも結婚を前提に交際を始め、女性の存在が邪魔になった。13年6月、マンションで女性に多量の睡眠改善薬を飲ませ、首を圧迫して殺害。遺体はブルーシートでくるんで保管し、翌月、レンタカーで相模原市内の墓地まで運び、あらかじめ掘っていた穴に埋めて遺棄した――。
行方不明となった女性の家族から相談を受けた警視庁が捜査。女性の知人関係をたどったところ、佐藤被告が浮上した。女性が土中から見つかったのは15年6月。死亡したとされる時期から2年が経過していた。
事件は珍しい展開をたどる。…
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