特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

11年ぶりに自殺者増加 コロナ下こそ届く支援を

 昨年の自殺者数が政府の速報値で2万919人に上り、11年ぶりに増加に転じた。

 中でも女性と小中高生の増加が目立つ。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済や社会が停滞した影響をより大きく受けたとみられる。

 女性は約7000人で男性の半数程度だが、前年に比べ約15%増えた。11年連続で減少した男性とは対照的な結果だ。

 非正規で働く人が多く、経済悪化のしわ寄せを受けやすい。外出自粛でドメスティックバイオレンス(DV)が増えたことなども影響したとみられる。

 子どもの中ではとりわけ、高校生が急増した。厚生労働省によると進路の悩みや学業不振などが要因というが、学校の一斉休校などで家庭内のストレスが増した可能性も指摘されている。

 自殺対策では、変調を早期に察知し手を差し伸べることが大切だ。コロナ下で人との接触が制限され、取り組みが難しくなった面もある。

 感染拡大の「第3波」は続いており、支援の拡充が欠かせない。

 コロナ禍でうつを誘発するような要因が増えている。速やかな受診につながるよう周囲の人が支えてほしい。

 自宅で療養する患者の見守りも強化が求められる。医療従事者は激務が続いており、精神面でケアする仕組みが重要だ。

 自殺増加の要因は感染拡大の影響だけではない。NPOの調査では、自殺した人の多くがさまざまな悩みを抱え、7割が何らかの相談窓口を利用していた。自治体が果たすべき役割は大きい。

 東京都足立区は行政サービスの窓口で相談者の困りごとを受け止め、関係部署につなぐきめ細かな取り組みをしている。自殺につながる兆候に気づけるよう、窓口担当者には研修を実施してきた。

 若者対策として、インターネットで「死にたい」と検索した人に、自動的に相談窓口を表示する仕組みを導入したところもある。

 経済の低迷が長引けば、自殺者がさらに増える恐れがある。福祉や教育、雇用など多分野が連携した対策が必要だ。政府や自治体はコロナ下の制約を乗り越え、支援が届くよう手を尽くすべきだ。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

次に読みたい

関連する特集・連載など

あわせて読みたい

注目の特集