「罰則で乗り切ろうというのは安易な発想」独協大・右崎名誉教授
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新型コロナウイルス対策の特別措置法や感染症法に過料などの罰則規定を盛り込む改正について、著書に「緊急事態と憲法 新型コロナウイルス緊急事態の体験を経て」(共著)などがある右崎正博・独協大名誉教授(憲法)に聞いた。【聞き手・遠藤修平】
新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法の改正に向けた議論が進められ、一時は刑事罰さえも検討されたが、罰則を加えることには反対だ。私権制限を過度に強める危険がある。
特措法改正案では、知事による営業時間短縮などの要請・命令に従わない事業者に行政罰の過料を科すとしているが、営業の自由、財産権の行使といった憲法上の権利を侵害する恐れがある。そもそも過料を科すならば、十分な補償が必要だ。自治体の財政状況に左右される「協力金」という給付で済む問題ではなく、具体的な補償の枠組みの議論が不十分だ。
どういった業種に過料を科すかの基準もあいまいだ。特定の業種に対して要請・命令するのならば、客観的なデータに基づかなければならないが、法案からは読み解けない。さらに、同案では知事が政令に基づいて判断するとしている。政令は国会の審議を経ずに定めることができるので、罰則を科す場合は法律で定めなければならないという憲法31条の適正手続きの要請をかいくぐるやり方に思える。また、行政手続きにも適正手続きの要請は及ぶというのが判例や通説の考え方であるから、過料を科すためでも、十分な証拠があり、科される側に弁明の機会が与えられ、救済の申し立てができるなど、手続き上の適正さも当然に必要だ。
緊急事態宣言の前段階として「まん延防止等重点措置」という新規定が盛り込まれているが、発令の際に国会への報告義務もない。政府が速やかな国会報告を行うよう付帯決議で担保するとしているが、その実効性は疑問だ。あくまでも前段階の措置なのだから、緊急事態宣言よりも厳しい発動要件が必要になるはずだが…
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