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はやぶさ2

探査機「はやぶさ2」がリュウグウで試料を採取して持ち帰る6年の旅を完遂。分析や次のミッションを解説。

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はやぶさ2の発信力

(上)初の「管制室生中継」が実現した背景は

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小惑星探査機「はやぶさ2」の公式ツイッターアカウントのページ
小惑星探査機「はやぶさ2」の公式ツイッターアカウントのページ

 小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトチームは、従来の日本の宇宙探査にはない多くの情報を発信した。小惑星への着陸や地球帰還といった山場では、管制室の様子をインターネットで生中継したほどだ。欧米の宇宙探査ではこのような情報発信は多かったが、日本の探査では初めてともいえる挑戦で、公式ツイッターのフォロワーは23万5000を超えた。はやぶさ2への理解と共感を広げた情報発信は、なぜ実現したのか。そこには、プロジェクトメンバーの強い意志があった。【永山悦子/オピニオングループ】

すべてを見せる怖さ

 はやぶさ2の情報発信の中心になったのは、吉川真・ミッションマネジャーと主エンジンである「イオンエンジン」を担当した細田聡史・宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究開発員だ。2人や津田雄一・プロジェクトマネジャーらのメンバーは、2014年12月の打ち上げ後「なるべく迅速、リアルタイム的に、たくさんの情報を出そう」という方針を立てた。

 吉川さんは「先代のはやぶさで、チームとしては多くの情報を出したつもりだったが、情報のタイミングが遅い、もしくは少ないという意見が寄せられた。海外への情報発信も十分ではなかった。そこで、国内外にどんどん情報を出してリアルタイムでミッションの状況を知ってもらい、一緒にミッションに参加しているような雰囲気を作って、理解を広げようと考えた」と説明する。

 はやぶさ2チームはツイッターを使い、日本語と英語でリアルタイムの情報を次々と発信したほか、プロジェクトのホームページでは探査機の各機器に関する担当者による解説やメンバーのコラム、ミッションの見せ場を描いた漫画の連載、探査機と地球のリアルタイムの距離などを紹介した。

 プロジェクトメンバーがファンに直接語りかける「トークライブ」も全国各地で開催し、地球帰還前にはメンバーが登場するウェブサイトのイベントも複数回配信した。記者会見も頻繁に開き、はやぶさ2が小惑星リュウグウへ到着した18年6月以降だけでも50回を超えた。

 津田さんは「とにかく情報を出そうと考えていた。記者会見は結果を伝える場所ではなく、予定や計画など目指しているものを中心に説明した。私たちがミッションをどんな思いでやろうとしているのかや、『こうなら成功。こうなら失敗』と事前に伝えることで、外から見ている人たちもハラハラドキドキするだろうし、はやぶさ2や科学を理解してもらうために重要だと思った」と話す。

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【はやぶさ2】

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