京都の紅葉とともに5人の恋模様描く 「京都人の密かな愉しみBlue修業中」 30日に新作
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日本でも有数の観光スポットである京都。1000年以上、都として栄えた長い歴史を持つ京都は、映画やドラマの舞台にたびたび取り上げられてきた。そんな京都で暮らす現代の若者の喜びや苦悩を、各季節の繊細な映像とともに描いてきた人気ドラマシリーズ「京都人の密(ひそ)かな愉(たの)しみBlue修業中」の最新作「燃える秋」が30日午後7時半に、NHKBSプレミアムとNHKBS4Kで放送される。ドラマにドキュメンタリーを組み合わせ、外からはうかがい知ることができない「京都人」の暮らしぶりやこだわりをひそかに垣間見ることができる番組だ。【佐々本浩材】
「京都人の密かな愉しみ」が始まったのは2015年。17年までは、老舗和菓子屋の若おかみ(常盤貴子)の周囲で起こる出来事を、隣家に住むイギリス人大学教授、エドワード・ヒースロー(団時朗)が“観察”する視点で描いた5作が不定期で放送された。その続編に当たる「京都人の密かな愉しみBlue修業中」は、京都の伝統を引き継ごうと修業に励む5人の若者を主人公にした作品で、17年以降、すでに3作が放送された。16年にはATP賞グランプリに輝くなど、評価が高いシリーズだ。
脚本、監督をつとめるのは源孝志。最新の映像技術を使って時代劇を制作することになり、悪戦苦闘する撮影所のスタッフや役者たちの姿を描く異色時代劇「スローな武士にしてくれ〜京都 撮影所ラプソディー〜」(19年)や、江戸時代の天才絵師、伊藤若冲にスポットを当てた「ライジング若冲 天才 かく覚醒せり」(21年)など話題のドラマを手がけている。
林遣都らで描く5人の若者の成長
「京都人の密かな愉しみBlue修業中」は、第1作の「送る夏」(17年9月)で、送り火前後の京都を舞台に、修業中の5人のそれぞれの悩みを、続く「祝う春」(18年4月)では厳しい冬を乗り越え、梅が咲く春を迎えた京都人の喜びを5人の成長とともに描いた。3作目の「祇園さんの来はる夏」(19年8月)は、京都の最大の祭り「祇園祭」がテーマ。祭りを機に一気に熱を帯び始める若者たちの恋模様を映像化した。実際の山鉾(やまほこ)巡行の神事に役者を参加させ、虚実が入り乱れる演出で、祭りの魅力を十二分に伝えた演出は、祭りを知らない人にも見応え十分だった。
登場する修業中の若者5人は、庭師の若林ケント幸太郎(林遣都)▽陶芸家の宮坂釉子(「送る夏」と「祝う春」は相楽樹、「祇園さんの来はる夏」から吉岡里帆)▽板前の松原甚(矢本悠馬)▽パン職人の上町葉菜(趣里)▽京野菜を栽培する農家の松陰鋭二(毎熊克哉)。5人は高校時代の友人同士という設定だ。今やドラマや映画に引っ張りだこの5人が、職人としても、人間としても成長途上の若者の姿を生き生きと演じている。
ドラマを面白くするベテラン俳優陣
実は、ドラマを面白くしているのは、5人を見守る“師匠”を演じるベテランの俳優陣だ。幸太郎の師匠で、十五代目美山清兵衛(石橋蓮司)が職人の生きざまについて語る言葉は毎回重みたっぷりで、心に刺さる。時に流れる石橋のナレーションもいい。鋭二の師匠で、京都市左京区大原の農家、松陰タエ(江波杏子)は京野菜づくりの名人。その演技でドラマに重みを与えていたが、江波自身の急死でタエも「祇園さんの来はる夏」の冒頭で急死する展開に。師匠との別れ、技の継承もドラマの大きなテー…
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