不時着から悪霊まで…第4次韓流ブーム率いる「スタジオドラゴン」はなぜ強い?
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第4次韓流ブームの勢いは2021年も止まりそうにない。昨年大ヒットしたドラマ「愛の不時着」を機に、韓国ドラマを見始めたという人が大勢いた。実は記者もその一人だ。話題になった他の作品を見ていくと、その多くがソウル市に拠点を置く16年設立の制作会社「スタジオドラゴン」が手がけたものであることに気づく。一制作会社がヒット作を連発する秘策とは何なのだろう。韓国ドラマの歴史と共に迫った。【大野友嘉子/統合デジタル取材センター】
三谷幸喜、中園ミホ級がずらり…
「愛の不時着」が年明け早々、再び話題になった。元日に、韓国メディアで主演2人の交際が報じられると、現実とドラマを重ねて見直したいというファン心理からか、動画配信サービス「ネットフリックス」にアクセスが殺到。人気リストの首位に返り咲いたのだ。さらに、ドラマのセットや未公開カットなどを紹介する「愛の不時着展」も東京都内で1月8日から始まり、19年12月の放送開始から1年以上たつ今も、熱が衰えない。
ドラマを制作したスタジオドラゴンは、映画「パラサイト 半地下の家族」に出資したサムスン財閥系総合エンターテインメント企業CJENMの子会社だ。日本で制作会社というと、テレビ局などの下請けをイメージするが、同社は企画から資金調達、制作、配給まで一貫して自ら行い、テレビや動画配信サービスに販売している。昨年は米国支社を設立し、米映画製作会社と共同プロジェクトに取り組むなど、事業のグローバル化も進めている。「愛の不時着」はネットフリックスを通じて世界190カ国で配信されており、動画配信サービスの世界的な普及も、同社の勢いに拍車をかけているようだ。
その創作面で注目すべき点は、同社と専属契約を結ぶクリエーターの面々である。同社は約230人もの人材を抱え、そこには韓国を代表するエース級の脚本家たちがずらりと名を連ねているのだ。
例えば「愛の不時着」を書いたパク・ジウン氏は、宇宙人と女優の恋愛を描いたドラマ「星から来たあなた」を手がけた。「トッケビ」を書いたキム・ウンスク氏はスタントウーマンと財閥の御曹司の魂が入れ替わるラブコメ「シークレット・ガーデン」といったヒット作を世に送り出してきた。日本でも親しまれた時代劇「宮廷女官チャングムの誓い」で知られるキム・ヨンヒョン氏も所属している。日本に例えるなら、三谷幸喜氏、中園ミホ氏、古沢良太氏を一つの制作会社が擁するようなものだろう。
こうした戦略は、…
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