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はやぶさ2

探査機「はやぶさ2」がリュウグウで試料を採取して持ち帰る6年の旅を完遂。分析や次のミッションを解説。

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はやぶさ2の発信力

(下)「探査機の運転手」が広報の中心になったわけ

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探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの2回目の着陸を成功させたことを喜ぶ管制室の運用メンバーたち。細田聡史・JAXA主任研究開発員の提案で、皆でVサインを出した=相模原市中央区のJAXA宇宙科学研究所管制室内で2019年7月11日午前10時50分、宇宙科学研究所/JAXA提供
探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの2回目の着陸を成功させたことを喜ぶ管制室の運用メンバーたち。細田聡史・JAXA主任研究開発員の提案で、皆でVサインを出した=相模原市中央区のJAXA宇宙科学研究所管制室内で2019年7月11日午前10時50分、宇宙科学研究所/JAXA提供

 小惑星探査機「はやぶさ2」の情報発信で特に注目されたのが、相模原市にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所にある管制室からのライブ中継だった。日本の宇宙探査では一般に見せたことのない管制室の一部始終を公開したのはなぜだったのか。プロジェクトメンバーが広報室へ席を移した理由は。多くのファンを生んだはやぶさ2の情報発信の舞台裏を取材した記事の後半をお届けする。【永山悦子/オピニオングループ】

管制室からの中継を工夫で実現

 はやぶさ2を運用する管制室のインターネット中継は、2019年2月と7月のリュウグウへの着陸や、この年の4月に人工クレーターを作ったミッション、昨年末の地球への帰還という山場のときに実施された。

 これまでの日本の宇宙探査で管制室の中継が難しかったのは、セキュリティーの観点が大きかったという。管制室でのやりとりやパソコンに映し出された情報が外へ漏れることを防ぐためだった。一方、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)の宇宙探査では、管制室からのリアルタイム中継が多く実施されている。吉川真・ミッションマネジャーは「海外の宇宙機関が中継をしており、私たちもやってみようということになった」と話す。

 「台本」を書いていたのは細田聡史・JAXA主任研究開発員だ。主エンジンの「イオンエンジン」を担当しながら、運用の合間に広報や情報発信も担当した。広報を外注しないことによって、「紹介したいことをあますことなく入れられた」(細田さん)という。その日の運用を直接担当していないプロジェクトメンバーやJAXAの関係者、はやぶさ時代を知る技術者らを呼び、管制室の外に作った「スタジオ」でミッションの見どころや解説を話してもらいながら、運用の進行状況を伝えた。当初は、細田さんが管制室へ出入りしながら、スタジオでその様子を伝えていたが、地球への帰還運用では管制室の中から「管制室からスタジオ。今、動きがありました」などと生中継をするまでになった。セキュリティー上の課題は…

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【はやぶさ2】

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