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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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第93回選抜高校野球 あなたに会いたい 春が来る、夢かなえ(その1)

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センバツ出場が決まり喜ぶ東海大菅生の選手たち=喜屋武真之介撮影 拡大
センバツ出場が決まり喜ぶ東海大菅生の選手たち=喜屋武真之介撮影

 <2021 第93回センバツ高校野球>

初出場10校 昨年も選出12校

 待ちに待った「春」の便りが32校に届いた。29日の第93回選抜高校野球大会の選考委員会で、一般選考28校、21世紀枠4校の出場が決まった。10校が初出場を果たす一方、12校は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった2020年に続く選出。昨年大会は出場回数に含まれるため、ともに2年連続の中京大中京(愛知)は歴代2位の32回、県岐阜商は同3位タイの30回に出場回数を伸ばした。

オンラインで実施

 新型コロナウイルス感染防止のため、今回の選考委員会は大きく様変わりした。これまでは毎日新聞大阪本社で行われていたが、すべてオンラインで実施。例年なら選考委員が一堂に集まり、開かれていた午前中の選考委員会総会も行われなかった。

 午前9時からの21世紀枠候補校の推薦理由説明会は、各都道府県高校野球連盟理事長らがウェブ会議システムを使って各校の特徴を説明するプレゼンテーションを行った。21世紀枠特別選考委員の外部有識者も、オンライン上で質問した。一般選考を行う地区別小委員会も同様に実施。審議を尽くすため、通常より30分遅い午後3時半から選考委総会が開始され、オンラインで出場校が発表されると、同社に設置されたボードに出場校を記した看板がかけられた。

顔ぶれフレッシュ 同一都道府県から複数校 宮城、兵庫、奈良のみ

 今大会はフレッシュな顔ぶれが目立つのが特徴だ。初出場校は、36校が出場した第90回記念大会(2018年)以来3年ぶりに10校になった。出場32校で初出場校が2桁となったのは、11校だった第83回(11年)以来10年ぶり。昨秋の九州大会王者・大崎(長崎)や創部5年目の聖カタリナ学園(愛媛)など8校が春夏通じて初出場となった。

 一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止になった第92回(20年)に選出されたチームも多い。連続出場校は出場32校以上が定着した第55回(1983年)以降で最多の12校。最長は明豊(大分)の3年連続だ。仙台育英(宮城)、健大高崎(群馬)、中京大中京(愛知)、明徳義塾(高知)は2年連続で秋季地区大会優勝。2020年は春夏の甲子園大会が中止になっただけに、先輩の分も戦う思いは強い。

 同一都道府県からの複数校出場は第76回(04年)以来の「3」で、宮城、兵庫、奈良のみ。同一都道府県に集中しなかったため、29都道府県から出場校が選出された。

 第89回(17年)、第90回を連覇し、現在センバツ10連勝中の大阪桐蔭など春夏の優勝経験があるのは前回より2校減って9校に。公立校は前回より2校増えて9校。上田西(長野)、具志川商(沖縄)は県勢として6年ぶりの出場となる。【藤田健志】

「この日待っていた」 東海大菅生

 昨秋の東京大会を制した東海大菅生の選手たちは顔をほころばせ、喜びを分かち合った。

 主力選手は、独自大会となった夏の西東京大会や、東東京大会を制した帝京との東西対抗戦で上級生に割って入り、優勝を経験した。秋は打線がつながり、4番・堀町、5番・小池を中心に8試合でチーム打率3割8分9厘をマーク。53盗塁と機動力も絡めて得点した。投手は左腕・本田の緩急がさえ、決勝を7回1安打に抑えた。鈴木、千田との継投も確立した。

 昨夏にかなわなかった先輩の夢も背負い甲子園に挑む。秋の大会をけがで欠場した主将の栄は「この日をずっと待っていた。日本一を目指し、粘り強い戦いをしたい」と意気込んだ。【林田奈々】

帽子を投げてセンバツ出場を喜ぶ柴田の選手たち=滝川大貴撮影 拡大
帽子を投げてセンバツ出場を喜ぶ柴田の選手たち=滝川大貴撮影

憧れの場所、楽しみ 柴田

 春夏通じて初の甲子園出場を決めた柴田。小雪が舞うグラウンドで吉報を待った選手らに土生校長が「新型コロナウイルスで夢さえも奪われた3年生らがあってこそ」と伝えると、選手たちはうなずき、喜びをかみしめた。

 昨秋の宮城県大会と東北大会は右腕・谷木(やぎ)が全11試合に登板し7完投。東北大会決勝は仙台育英に1―18で大敗したが、20年ぶりに宮城県勢2校出場を決めた。東北大会で1週間500球の球数制限に達した谷木は「選ばれるか不安だったが、甲子園は憧れの場所。あのマウンドで投げるのが楽しみ」と笑顔。平塚監督は「挑戦者として一試合でも多く戦いたい」と語った。【面川美栄】

甲子園での勝利を誓う専大松戸の選手たち=大西岳彦撮影 拡大
甲子園での勝利を誓う専大松戸の選手たち=大西岳彦撮影

初出場「1戦ずつ」 専大松戸

 専大松戸は昨秋の千葉大会準決勝で敗れたが、関東大会には開催県枠の第3代表としてチャレンジ精神で挑み、4強入りを果たした。

 主将の石井は「センバツは自分たちの目標だったのでうれしい」と笑顔。昨秋の新チーム結成後、まとまりに欠けることもあったが、「1試合ずつ勝ち進む中で、チーム全体で練習を頑張り強くなった」と振り返る。甲子園では「一つでも多く勝ちたい」と意気込んだ。

 持丸監督は「みんなに喜んでもらえるような楽しい甲子園にしたい」と話した。【長沼辰哉】

旗を囲み喜ぶ上田西の選手たち=竹内紀臣撮影 拡大
旗を囲み喜ぶ上田西の選手たち=竹内紀臣撮影

「身引き締まる思い」 上田西

 昨秋の北信越大会では、準決勝で星稜(石川)を破って準優勝した上田西。初の切符をつかみ、主将の柳沢は「本当にうれしい。北信越の代表として身が引き締まる思い」と気持ちを新たにした。

 最大の売りは秋の公式戦チーム打率4割超の強力打線だ。1番・笹原、3番・柳沢を筆頭に畳み掛ける。左腕の山口はスライダーやチェンジアップなど精度の高い変化球を織り交ぜ、打者を幻惑する。

 目標は初の甲子園ベスト8進出。監督就任から1年余で同校をセンバツへ導いた吉崎監督は「一球に気持ちを込めるようなプレーをしていきたい」と意気込んだ。【皆川真仁】

ガッツポーズをする東海大相模の選手たち=幾島健太郎撮影 拡大
ガッツポーズをする東海大相模の選手たち=幾島健太郎撮影

「ここまで長かった」 東海大相模

 東海大相模は昨秋の関東大会では8強止まりだったが、潜在的な力の高さを評価された。春夏甲子園優勝3回を誇る門馬監督も「ここまで長かった。本当にうれしい」と感無量だ。

 チームの中心は昨夏の交流試合で甲子園のマウンドを経験しているエース石田。テンポの良い投球が持ち味だが、冬場は球威をつけるために走り込みに努め、体重を3キロ増やした。「甲子園ではチームに流れを呼び込める投球がしたい」と話す。新型コロナウイルスの影響で、1月に全体練習ができたのは10日にも満たない。それでも主将の大塚は「集中力を持って練習できている。チーム全体で打力向上に取り組みたい」と意気込みを語る。【岸本悠】


第93回選抜高校野球大会の出場校が張り出された選考委員会総会=山田尚弘撮影 拡大
第93回選抜高校野球大会の出場校が張り出された選考委員会総会=山田尚弘撮影

復活へ「万全の準備で」 八田・高野連会長

 日本高校野球連盟の八田英二会長が選考委員会総会の冒頭で、2年ぶりの開催となるセンバツに向けた思いを語った。

 「32校には昨年、出られなかった出場校の思いや今回選出されなかった学校の思いを受け止め、万全の準備で開幕に臨んでほしい」

 昨年3月11日。新型コロナウイルス感染拡大によるセンバツ中止の記者会見で、八田会長は「選手の健康、安全が第一」として苦渋の決断を下し、「甲子園の土を踏ませたい」と救済措置について言及した。その形が8月、昨年大会出場32校による原則、無観客の甲子園交流試合となって実現した。八田会長は「高野連の挑戦であり、新たな挑戦に向かう球児へのメッセージ」として位置付けた。感染防止を優先しトーナメント形式ではなく、各校1試合のみだったが、感染者を出すことなく無事に大会を終えることができた。

 この日の選抜選考委員会も史上初のオンラインで開催され、甲子園がある兵庫県でも緊急事態宣言が発令されるなど感染状況は予断を許さない。今春のセンバツは現在、感染対策などを講じた上で観客を入れる方向で準備を進めている。

 選考委員会後の記者会見でも、八田会長は「決定ではないが、PCR検査も視野に入れ、選手の健康管理に最大限配慮する。選手が安心してプレーできる環境を作るのが今回の最大の課題。昨年の経験、知見を生かしたいという固い決意で臨む」と表明した。春はセンバツから――。その言葉通り、高校野球の完全復活への第一歩としたい。【安田光高】

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