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第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

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第93回選抜高校野球 全国に勇気届け 決意を胸に32校(その1)

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 <2021 第93回センバツ高校野球>

 待ちに待った「春」の便りが32校に届いた。29日の第93回選抜高校野球大会の選考委員会で、一般選考28校、21世紀枠4校の出場が決まった。10校が初出場を果たす一方、12校は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった2020年に続く選出。昨年大会は出場回数に含まれるため、ともに2年連続の中京大中京(愛知)は歴代2位の32回、県岐阜商は同3位タイの30回に出場回数を伸ばした。

近畿王者「泥臭く」 智弁学園

 智弁学園は昨秋の県大会決勝でライバルの天理に敗れたものの、近畿大会は4試合中3試合で2桁安打を放つなどし、決勝では大阪桐蔭を破って9年ぶりの頂点に立った。

 打率5割超をマークした4番で主将の山下は「泥臭く、何が何でもという野球で見る人に勇気と希望を与えたい」と意気込む。3番の前川は新チーム以前から中軸を担っており、切れ目の無い打線のキーマンだ。

 西村、小畠の左右の「二枚看板」は完投能力がある。優勝した第88回大会(2016年)を引き合いに小坂監督は「日本一になったチームより実力は上だが、もっと打てる」と発破を掛ける。【林みづき】

左腕、磨いた制球 明徳義塾

 前回に続き出場権を得た明徳義塾は2020年秋、左腕の代木を軸に圧倒的な強さを見せ四国大会連覇を果たした。代木は「勝てる投手が良い投手」という馬淵監督の言葉を信条に制球力を磨き、高知、四国両大会の計7試合で完投。球速は120~130キロ台前半に抑えつつも、手元で曲がるカットボールで三振を量産した。

 昨夏のセンバツ交流試合では途中登板し、追加点を許しながらも、甲子園初登板で勝利投手になった。だが、投球内容は全く満足できるものではなかった。「その修正を四国大会でして、良い経験も悪い経験もできたと思うので、センバツでリベンジをしたい」。代木は吉報にも表情を引き締め、更なる飛躍を誓った。【北村栞】

震災10年、希望を 仙台育英

 仙台育英は昨秋の東北大会で、花巻東(岩手)などの強豪校を撃破し連覇。東日本大震災から10年となる節目の年の出場に、須江監督は「(同じ宮城から選出された)柴田と一緒に勇気や希望を与えられるような大会にしたい」と語る。強力打線の主軸を担う秋山は自身初の大舞台に、「初めて甲子園に臨むが気負わずに試合を楽しみたい」と喜んだ。

 最終学年で春夏の甲子園が中止に追い込まれた3年生の思いを1、2年生が受け継いだ。練習グラウンドには3年生世代のスローガンが今も掲げられている。主将の島貫は「先輩やいろいろな人の思いを背負って戦いたい」と意気込む。見据えるのは東北勢初の日本一だ。【滝沢一誠】

自慢の4割打線 上田西

 昨秋の北信越大会では、準決勝で星稜(石川)を破って準優勝した上田西。初の切符をつかみ、主将の柳沢は「本当にうれしい。北信越の代表として身が引き締まる思い」と気持ちを新たにした。最大の売りは秋の公式戦チーム打率4割超の強力打線だ。1番・笹原、3番・柳沢を筆頭に畳み掛ける。左腕の山口はスライダーやチェンジアップなど精度の高い変化球を織り交ぜ、打者を幻惑する。

 目標は初の甲子園ベスト8進出。監督就任から1年余で同校をセンバツへ導いた吉崎監督は「一球に気持ちを込めるようなプレーをしていきたい」と意気込んだ。【皆川真仁】

21世紀枠4校、多様性象徴

 21世紀枠特別選考委員による順位付けの評価表などを参考に、まず東日本(北海道、東北、関東・東京、東海、北信越)から行い、評価の高かった八戸西を選出し、西日本(近畿、中国、四国、九州)からは東播磨を選んだ。地区を問わない残り2校は、それまでの評価が高かった知内、三島南、富山北部・水橋、矢上、具志川商の5校に絞った上で比較検討し、具志川商を3校目に決定。残る4校から三島南と富山北部・水橋に絞り、最後の1枠は投票の末、三島南を選んだ。

 八戸西は、野球部員が特別支援学校の生徒と一緒にパラリンピック競技でもあるボッチャなどをプレーし、支援学校の生徒が傷んだボールの補修作業などを行ってきた。特別選考委員会では「東京パラリンピックを前に世界的な潮流であるインクルーシブ教育(子どもが障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ教育)に取り組んでいる」と高く評価された。

 先進的な取り組みでは、三島南も同様だ。日本高校野球連盟などが野球振興などを目的とした「高校野球200年構想」を立ち上げる2年前の2014年から、全国に先駆けて活動を開始。野球交流会などを6年間で31回行い、参加者1133人を数え、野球振興や地域貢献が高く評価された。

 東播磨は、新型コロナウイルスの影響で活動が制限される中、「Zoom」や「LINE」などオンラインツールを活用し、技術指導や部員の悩み相談などを行い「逆境をプラスに考える工夫がある」と評価された。また、野球部の活動を題材にした演劇部と放送部が全国優勝を果たし、演劇部の作品は映画化もされるなど校内に好影響を与えたのも好印象だった。

 具志川商は5年前には部員不足に陥ったが、企業で働くOBが監督やコーチとして指導するなど地域支援を受け、昨秋初出場した九州大会で勝利するなどV字回復を果たしたことが評価された。

 昨秋の明治神宮大会中止で今大会の「神宮大会枠」が21世紀枠に振り分けられた背景には、新型コロナウイルスに苦しむ中、高校球児が部活動に真摯(しんし)に向き合い、創意工夫を重ねて頑張ることが、全国の球児やファンに勇気を与えることにつながるとの考えがある。特色ある4校が選ばれた21回目の21世紀枠。多様性を象徴するセンバツらしい選考になった。【安田光高】

フレッシュな顔ぶれ 初出場10校

 今大会はフレッシュな顔ぶれが目立つのが特徴だ。初出場校は、36校が出場した第90回記念大会(2018年)以来3年ぶりに10校になった。出場32校で初出場校が2桁となったのは、11校だった第83回(11年)以来10年ぶり。昨秋の九州大会王者・大崎(長崎)や創部5年目の聖カタリナ学園(愛媛)など8校が春夏通じて初出場となった。

 一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止になった第92回(20年)に選出されたチームも多い。連続出場校は出場32校以上が定着した第55回(1983年)以降で最多の12校。最長は明豊(大分)の3年連続だ。仙台育英(宮城)、健大高崎(群馬)、中京大中京(愛知)、明徳義塾(高知)は2年連続で秋季地区大会優勝。2020年は春夏の甲子園大会が中止になっただけに、先輩の分も戦う思いは強い。

 同一都道府県からの複数校出場は第76回(04年)以来の「3」で、宮城、兵庫、奈良のみ。同一都道府県に集中しなかったため、29都道府県から出場校が選出された。

 第89回(17年)、第90回を連覇し、現在センバツ10連勝中の大阪桐蔭など春夏の優勝経験があるのは前回より2校減って9校に。公立校は前回より2校増えて9校。上田西(長野)、具志川商(沖縄)は県勢として6年ぶりの出場となる。【藤田健志】

万全準備で開幕を 高野連会長

 日本高校野球連盟の八田英二会長が選考委員会総会の冒頭で、2年ぶりの開催となるセンバツに向けた思いを語った。

 「32校には昨年、出られなかった出場校の思いや今回選出されなかった学校の思いを受け止め、万全の準備で開幕に臨んでほしい」

 昨年3月11日。新型コロナウイルス感染拡大によるセンバツ中止の記者会見で、八田会長は「選手の健康、安全が第一」として苦渋の決断を下し、「甲子園の土を踏ませたい」と救済措置について言及した。その形が8月、昨年大会出場32校による原則、無観客の甲子園交流試合となって実現した。八田会長は「高野連の挑戦であり、新たな挑戦に向かう球児へのメッセージ」と位置付けた。感染防止を優先しトーナメントではなく、各校1試合のみだったが、感染者を出すことなく無事に大会を終えることができた。

 この日の選抜選考委員会も史上初のオンラインで開催され、甲子園がある兵庫県でも緊急事態宣言が発令されるなど感染状況は予断を許さない。今春のセンバツは現在、感染対策などを講じた上で観客を入れる方向で準備を進めている。

 選考委員会後の記者会見でも、八田会長は「決定ではないが、PCR検査も視野に入れ、選手の健康管理に最大限配慮する。選手が安心してプレーできる環境を作るのが今回の最大の課題。昨年の経験、知見を生かしたいという固い決意で臨む」と表明した。春はセンバツから――。その言葉通り、高校野球の完全復活への第一歩としたい。【安田光高】

オンラインで選考委

 新型コロナウイルス感染防止のため、今回の選考委員会は大きく様変わりした。これまでは毎日新聞大阪本社で行われていたが、すべてオンラインで実施。例年なら選考委員が一堂に集まり、開かれていた午前中の選考委員会総会も行われなかった。

 午前9時からの21世紀枠候補校の推薦理由説明会は、各都道府県高校野球連盟理事長らがウェブ会議システムを使って各校の特徴を説明するプレゼンテーションを行った。21世紀枠特別選考委員の外部有識者も、オンライン上で質問した。

 一般選考を行う地区別小委員会も同様に実施。審議を尽くすため、通常より30分遅い午後3時半から選考委総会が開始され、オンラインで出場校が発表されると、同社に設置されたボードに出場校を記した看板がかけられた。


21世紀枠の選考基準

 センバツの招待大会としての特性を生かし、高校野球の模範的な姿を実践している学校を以下の基準に沿って選ぶ。

 (1)秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)(2)以下の推薦例のいずれかに当てはまる学校。少数部員、災害など困難な環境の克服▽学業と部活動の両立▽数年間にわたり試合成績が良好ながら、強豪校に惜敗するなどして甲子園出場機会に恵まれていない▽創意工夫した練習で成果を上げている▽部外を含めた活動が他の生徒や地域に好影響を与えている。


21世紀枠の出場校◇

2001年 安積(福島)宜野座(沖縄)

  02年 鵡川(北海道)松江北(島根)

  03年 柏崎(新潟)隠岐(島根)

  04年 一関一(岩手)八幡浜(愛媛)

  05年 一迫商(宮城)高松(香川)

  06年 真岡工(栃木)金沢桜丘(石川)

  07年 都留(山梨)都城泉ケ丘(宮崎)

  08年 安房(千葉)成章(愛知)

      華陵(山口)

  09年 利府(宮城)彦根東(滋賀)

      大分上野丘(大分)

  10年 山形中央(山形)向陽(和歌山)

      川島(徳島)

  11年 大館鳳鳴(秋田)佐渡(新潟)

      城南(徳島)

  12年 女満別(北海道)石巻工(宮城)

      洲本(兵庫)

  13年 遠軽(北海道)いわき海星(福島)

      益田翔陽(島根)土佐(高知)

  14年 小山台(東京)海南(和歌山)

      大島(鹿児島)

  15年 豊橋工(愛知)桐蔭(和歌山)

      松山東(愛媛)

  16年 釜石(岩手)長田(兵庫)

      小豆島(香川)

  17年 不来方(岩手)多治見(岐阜)

      中村(高知)

  18年 由利工(秋田)膳所(滋賀)

      伊万里(佐賀)

  19年 石岡一(茨城)富岡西(徳島)

      熊本西(熊本)

  20年 帯広農(北海道)磐城(福島)

      平田(島根)

  21年 八戸西(青森)三島南(静岡)

      東播磨(兵庫)具志川商(沖縄)

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