2年ぶりセンバツ、出場校決定
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今年こそ夢舞台へ――。29日開かれた第93回選抜高校野球大会の選考委員会で、32校の出場が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前回大会が中止となった2年ぶりの「春」。コロナ禍を乗り越えて切符をつかんだ選手たちは、春夏の甲子園大会を奪われた先輩たちの思いも背負い、静かに闘志を湧き上がらせた。大会は3月19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。
出られなかった兄の分も 中京大中京・杉浦選手「思い背負い優勝を」
中京大中京の杉浦泰文選手(2年) は、同高3年の兄・文哉さん(18)の思いを胸に憧れの舞台に臨む。文哉さんは優勝候補の一角とされながら中止となった2020年のセンバツ出場予定メンバー。杉浦選手にとって、甲子園での「日本一」への挑戦を目前で閉ざされた兄の無念を肌で感じてきた1年だった。2年連続32回目のセンバツ選出が決まり、「兄を含めた先輩の思いも背負う。積極的に塁に出て優勝したい」と一層気を引き締めた。
兄弟は偉大な祖父を持つ。旧・中京商(現・中京大中京)時代の1959年センバツで選手として優勝し、66年には監督として当時史上2校目の春夏連覇へ導いた故・杉浦藤文さんだ。文哉さんは「祖父と同じところで野球がしたい」と入学。だが1年生の時はベンチ入りできず、もっぱらスタンドで応援。そこで「おじいちゃんにはお世話になった」、「応援してるよ」と度々声をかけられ、祖父の存在の大きさを知った。
そこから意識が変わり、冬も午前5時に起きて、誰よりも早く自主練習に取り組んだ。2年秋にはベンチ入りを果たし、その年の県大会では、代打でサヨナラ打を放つなどの活躍でチームの躍進に貢献。20年の新型コロナによる休校期間中も弟と名古屋市内の練習場に通った。だが、休みなく練習に打ち込む兄弟に届いたのは、センバツに続き、夏の甲子園も中止との知らせだった。普段にぎやかな家族の食卓で黙り込む文哉さん。杉浦選手は「声をかけられなかった」という。
文哉さんはセンバツに代わる夏の交流試合で打席に立つことができ「高校野球に悔いはない」と振り返り、「次は弟に託したい」と期待を寄せる。
杉浦選手は少年野球クラブから兄とずっと同じチーム。文哉さんの背中を追い、2年秋から午前5時に起きて練習に励むようになり、昨秋の県大会や東海大会では安打を重ねた。文哉さんは「打撃は下手だが、足の速さだけは認めている」と評価する。杉浦選手は「中学の時はアドバイスされるとムカついたけど、今はいい見本」と照れくさそうだ。
中学の野球部時代は自分たちの代が活躍できず、「兄たちの足を引っ張ってばかりで本当に申し訳なかった」と杉浦選手。今回の甲子園出場で、やっと挽回の機会が巡ってきた。心の中で兄に誓う。「成長した姿を見せて、日本一を目指す」【ガン・クリスティーナ】
コロナ越え、勇気届け 県岐阜商
2年連続30回目のセンバツ選出を決めた県岐阜商の屋内練習場では、ユニホーム姿の選手や、保護者が集まった。鍛治舎巧監督が「全国に勇気を与える試合をしよう」と語りかけると、選手たちは深々とお辞儀をして応えた。
チームはこれまで、新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され続けた。出場が決まっていた昨春のセンバツは、感染拡大防止のため中止に。昨年7月には同高を含む複数の県立高でクラスター(感染者集団)が確認された。硬式野球部は夏の県独自大会を初戦から辞退した。
選手たちは「自分たちが甲子園に行って先輩の悔しさを晴らそう」との思いで猛練習をこなした。県大会では、相手のミスに乗じた得点などが目立ったが、東海地区大会では2回戦の東邦(愛知)、準決勝の岐阜第一(岐阜)をそれぞれ7―0、6―0で降し、圧勝した。
2試合とも、地区大会からエースになった野崎慎裕(のりひろ)投手(2年)が「臨機応変な投球ができた」と完封。同じく1番を任されるようになった中西流空(りく)選手(同)も長打で起用に応え、練習量に裏打ちされた成長を実感した。「甲子園でも打線をつなぐ役割を果たしたい」(中西選手)と大舞台での勝利を誓う。【熊谷佐和子】
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