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カーボンプライシングで主導権争い? 環境・経産両省が別々に有識者会議

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東京都内のガソリンスタンドで給油する人たち(画像の一部を加工しています)
東京都内のガソリンスタンドで給油する人たち(画像の一部を加工しています)

 二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて企業や消費者に経済的な負担を求める制度「カーボンプライシング」(炭素の価格付け)について、導入を検討する環境省の有識者会議は1日、議論を1年半ぶりに再開した。「2050年までにCO2など温室効果ガス排出実質ゼロ」の目標達成に向けた起爆剤にもなるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で景気が低迷している中、負担の増加につながる制度導入は企業側や一般家庭から反発を招くとみられ、曲折も予想される。【鈴木理之/科学環境部、山下貴史/経済部】

1年半ぶりに有識者会議が再開

 「カーボンプライシングを今年の最重要課題に位置づけたい。ぜひ前進の1年にしようではありませんか」

 1日、小泉進次郎環境相は有識者会議の冒頭でそう語り、早期実現を目指す姿勢を鮮明にした。

 カーボンプライシングには、石油や天然ガス、石炭など化石燃料にCO2排出量に応じた税を課す「炭素税」や、企業間でCO2排出枠を取引する「排出量取引」などがある。経済協力開発機構(OECD)によると、欧州を中心に80以上の国と地域で導入が進む。

 国内ではすでに、地球温暖化対策税(温対税)が12年に導入された。CO2排出量に応じて事業者に課税し、事業者は電気代やガソリン代などに上乗せしているもので、炭素税の一種だ。また排出量取引も、国に先駆けて東京都が10年に都内の大規模事業所を対象に開始したほか、13年には再生可能エネルギーの導入によるCO2排出削減量などを国が認証した「クレジット(排出枠)」として売買する「J―クレジット制度」が導入された。

 温対税の税率はCO21トン当たり289円で、ガソリンの場合は1リットル当たり0・76円だ。すでに炭素税を導入している欧州などの他国に比べて税率が低く、化石燃料の利用を抑制する効果が限定的だとされる。他方、温対税導入以前から、原油や石炭などには石油石炭税が課税されており、事実上の「二重課税」状態との指摘もある。

議論主導したい環境省 本音は「炭素税」

 環境省は、温室効果ガス削減策としてのカーボンプライシングを検討する有識者会議を18年7月に発足させた。しかし、新たな制度導入を求める学識者や環境団体の委員と、経済成長の妨げになると危惧する経済界出身の委員との間で意見の隔たりが大きく、議論は並行線をたどった。19年7月にまとめた中間整理では、「経済・社会にどのような影響をもたらすのか、定量的な議論が重要」との結論を得るにとどまり、その後しばらくは休眠状態だった。

 今回、議論が再開されるまでの1年半の間で、制度導入を巡る政治と社会情勢は目まぐるしく変化した。

 環境省は当初、…

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