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養育費の不払い対策 実効性ある仕組み早急に

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 離婚後の養育費不払いを防ぐため、法改正の議論が始まることになった。上川陽子法相が法制審議会に諮問する方針を示した。

 厚生労働省の2016年の調査では、123万世帯と推計される母子家庭のうち、養育費を受け取っているのは24%に過ぎない。

 別居しても、親には子どもの生活を保障する義務がある。勝手な都合で、支払いを免れることは許されない。

 ひとり親家庭の貧困率は5割近くに上る。特に、大半を占める母子家庭の家計は苦しい。母親の年間就労収入は平均で200万円にとどまっている。

 コロナ禍で状況はさらに厳しくなっている。支援団体の調査ではひとり親家庭の7割近くが、収入が減ったか減る見込みと答えた。

 養育費の不払いは、暮らしが困窮する一因になっている。適切に支払われる仕組みを早急に整えなければならない。

 まずは、離婚時の取り決めが不可欠だ。母子家庭の半数以上が取り決めをしていない現状を変える必要がある。

 法務省の有識者会議は、民法に養育費の請求権を明記し、取り決めの際に参考とすべき点を示すよう提言している。公的機関に届け出れば、強制執行が可能になるような制度の導入も求めた。

 自民党からは、取り決めがなければ、原則として離婚できないようにする案も出ている。

 ただ、DVなどによって、離婚時に話し合いができないケースは少なくない。裁判所での手続きを簡略化するなど、負担を減らす対策が必要だ。

 養育費の支払いが滞らないようにするための方策も求められる。不払いに対し、ひとり親が法的手段を取るのは容易ではない。

 欧米では、国や行政機関が養育費を立て替えたり、強制的に徴収したりする制度を設けている。導入の検討を進めるべきだ。

 法律の専門家による相談体制の充実も欠かせない。利用しやすくするためには、国や自治体による支援が重要になる。

 離婚に伴う子どもの養育について、日本はこれまで公的な関与が乏しかった。親の義務を明確にした上で、子どもの利益を最優先にした仕組みを設ける必要がある。

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