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2月4日で開幕まで1年になる北京冬季五輪は新型コロナウイルス対策に加え、人権問題が波紋を呼んでいる。中国政府による新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧だ。差別を禁じる国際オリンピック委員会(IOC)の五輪憲章違反との批判もある。ウイグル問題に詳しい水谷尚子・明治大准教授(中国近現代史)は問題の根深さを指摘する。【小林悠太】
エリパン・へズムジャンというウイグル人のサッカー選手を知っているだろうか。彼は中国スーパーリーグの江蘇省のチームに所属していたが、19歳だった2018年2月ごろに消息不明となり、新疆ウイグル自治区内の強制収容所に送られたという証言がある。試合に出場するため、直前にスペインなど海外に行ったことが理由とみられる。スポーツ選手にとって、特に若い時期の1年は貴重だ。今後解放されても人生を狂わされた事実は変わらない。
ウイグル族への人権侵害 「教育」と称して強制収容所へ
スポーツ選手、大学教員、医学者ら著名人や知識人だけではない。多くのウイグル人が「教育」と称して強制収容所に入れられている。18年当時、89万人以上が拘束されていたという内部データもある。衛星写真で見ると収容所は年々大きくなっており、ウイグル人の文化、産業が消失しようとしている。スポーツ界では多様性が尊重され、テニスの大坂なおみ選手のように人種問題への発言が評価されている。中国共産党による行為は、時代に逆行している。
13年に習近平国家主席が巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱して以降、少数民族への強制的同化政策が強まった。ウイグル人が暮らす中国北西部の新疆ウイグル自治区は、八つの国と国境を接する中央ユーラシアの軍事、交通の要所だ。そこに中国の多くを占める漢人とは異なるウイグル人の基盤が存在するため、その文化を破壊して漢人文化圏にしようというのが中国政府の考え方である。
強制収容所は16年末ごろから造られた。恐ろしいのは、収容所や自治区の中での人権侵害の現状がほとんど分かっていないことだ。…
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