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世界各国・地域には独自の文化がある。駐日大使や公使らは自国のどの「一品」にこだわりを持っているのか。その魅力を紹介する。

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モロッコ大使が紹介 「文化の交差点」に根付くティーセレモニー

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ティーセレモニーを楽しむラシャッド・ブフラル駐日モロッコ大使(右から2人目)と大使夫人=東京都新宿区で2021年1月29日、内藤絵美撮影
ティーセレモニーを楽しむラシャッド・ブフラル駐日モロッコ大使(右から2人目)と大使夫人=東京都新宿区で2021年1月29日、内藤絵美撮影

 草花が彫られた銀色のティーポット、赤、青、緑色のカラフルな装飾が施されたグラス、クッキーなど茶菓子を収めるための銀皿。駐日モロッコ大使公邸にあるティーセレモニー(お茶会)の道具は、室内の装飾としても映える。日本に来て4年余になるラシャッド・ブフラル大使(69)は「ティーセレモニーは、みんなが一つの場所に集う大切な時間の一部です。道具も普段とは違う豪華なものを使っています」と秘蔵の茶器を紹介してくれた。

 モロッコはアフリカ大陸の北西端、地中海から大西洋への出口に位置する。アラビア語圏にありながら、ジブラルタル海峡を挟んでスペインから約15キロしか離れていない。古来、アフリカ、アラブ、欧州の文化が混じり合い、独特の風土を育んできた。

 ティーセレモニーも「文化の交差点」の歴史が生んだ習慣の一つだ。モロッコにはお湯にミントの葉を入れたハーブティーを飲む習慣があったが、17~18世紀ごろに英国の影響で中国産の緑茶が広まり、緑茶にミント、砂糖を加えて楽しむ独特の喫茶文化が形成された。ブフラル大使は「朝、昼、午後、夜と1日4回は飲みます。仕事を終えて帰宅したら、ミントティーでリラックスします。消化を助ける効能もあるんですよ」と語る。

 ティーセレモニーは、普段から親しむお茶に特別な意味を持たせた儀式だ。「結婚式などの節目、記念日、客を招くときなど、特別な日に行います。皆の前でお茶を作るところから披露し、お茶やお菓子を楽しみながら会話する。日本の茶会に似ていると思います」

 公邸では大使やスタッフが民族衣装を着て出迎えてくれた。えんじ色の円筒形の帽子(フェズ)、丈の長いワンピース(ジェラバ)、先がとんがった黄色いスリッパ(バブーシュ)。大使夫人は女性用のカフタンと呼ばれるドレス姿だった。

 スタッフがポットにまず茶葉、ミント、砂糖を入れ、お湯を少量注いだ後に蓋(ふた)をして、円を描くように軽く振り、一度、グラスに注ぐ。再びポットに戻すと、また軽く振り、グ…

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