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岡崎 武志・評『いとまの雪』『美術/中間子 小池一子の現場』ほか

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今週の新刊

◆『いとまの雪』伊集院静・著(角川書店/上下各税別1700円)

 伊集院静が初めて挑む時代小説『いとまの雪』は上下巻ながら、さくさくと読める。テーマは「新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯」(副題)。芝居やドラマ、小説で描き尽くされた「忠臣蔵」を、いかに新手で料理するかが見ものだ。

 まずは若き日の赤穂藩家老の大石内蔵助と藩主・浅野内匠頭長矩(ながのり)の肖像にたっぷり筆が費やされる。同時に、徳川綱吉の治世における財政難に言及。しわ寄せは諸藩に。松山藩の改易収城の役目を赤穂藩が。明日は我が身だ。

 長矩の精神的病「痞(つか)え」や、血筋に乱心による刃傷(にんじょう)沙汰の過去がある等々、内蔵助の不安が徐々に破局への序曲となる。著者はさらに、長年「忠臣蔵」で悪者扱いされてきた藩の次席家老・大野九郎兵衛に新しい光を当てる。

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