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日本文化をハザマで考える

日本文学研究家のダミアン・フラナガンさんが、日英の「ハザマ」で日本文化について考えます。

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第32回 禅に通じるレイモンド・カーバーの洞察

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英リンカン大聖堂
英リンカン大聖堂

 アメリカ人作家、レイモンド・カーバーの代表的な短編「大聖堂」(1981年)を読んでから何年もたつので、もう一度読んでみようと思った。その筋書きはこんなふうである。

 アメリカ東海岸の平凡な町で、妻が夫にこう告げる。彼女の長年の友達が遊びに来ると。友達とは、中年の盲目の男で、彼女は以前その男のところで働いていた。彼は今や彼女にとっては感情的な問題や心の奥底に秘められた思いをすべて打ち明けられる、大切な存在になっていた。

 カーバーの短編の特徴は(彼は詩のほかには短編しか書いていない)、極端なまでの簡潔さにある。一人称で語られ、毎日の生活が平凡に描写されているだけかのように見える。

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