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#最後の1年 明治大ラグビー部

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明大ラグビー部 八幡山にこもった主将が手に入れた会話力

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早明戦に勝利し関東対抗戦2連覇を決めた明治大ラグビー部主将の箸本龍雅。表情には充実感が満ちていた=東京・秩父宮ラグビー場で2020年12月6日、滝川大貴撮影
早明戦に勝利し関東対抗戦2連覇を決めた明治大ラグビー部主将の箸本龍雅。表情には充実感が満ちていた=東京・秩父宮ラグビー場で2020年12月6日、滝川大貴撮影

 1月2日夜、東京都世田谷区八幡山の選手寮の食堂に、戦いを終えた明治大ラグビー部員が集結した。日中、全国大学選手権準決勝で、大会初優勝を遂げる天理大に15―41で敗れていた。2季ぶりの優勝の夢が断たれ、このメンバーで臨む最後のミーティング。新型コロナウイルスの感染拡大に振り回されながらも約100人の部員を率いてきた主将のNO8箸本龍雅(22)=商学部4年=が口を開いた。

 「決勝まで行けなかったけれど、最後までラグビーができたのは、不満があってもチームのために、みんなが厳しいルールを守って生活してくれたから」。うなずきながら静かに聞く部員たちの脳裏に異例のシーズンがよみがえる。活動自粛による昨春のチームの一時解散、八幡山一帯からの外出を原則禁じた抑制の日々、無観客で迎えた10月の開幕戦――。そして感染者を出すことなく最後の日を迎えた。「感謝している」。箸本はそう結んだ。擦り傷だらけの体に敗戦の悔しさは充満している。ただ不確実な毎日でも規律を乱さずに前へ進んだ仲間たちが、それ以上に誇らしかった。

シャイなエリートの自己改革

 箸本のキャリアは輝かしい。地元の東福岡高では主将を務めた3年時、全国高校選抜大会、全国高校7人制大会、全国高校大会の3冠を達成した。明大でも1年時からレギュラーとなり、3年時には南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」に日本から参戦していたサンウルブズに練習生として招集された。

 ただ、188センチ、107キロの堂々とした体格から繰り出す迫力あるプレーと対照的に性格はシャイで繊細だ。実績は申し分ないが、「話すのが苦手」なだけに高校時代よりも個性派がそろう大学でチームをまとめ上げられるかは未知数だった。

 昨年3月、主将就任の門出で待っていたのが新型コロナの感染拡大だった。新体制として動き出したばかりの4月、政府の緊急事態宣言が発令され、チームは一時解散に追い込まれた。

 全員が暮らす選手寮から半数の部員が帰省した。プレーで引っ張るのがスタイルだが、グラウンドでは個人練習に制限された。感染対策のため部は八幡山一帯から出ることを禁じた。週1日のオフ前夜の楽しみだった外食はできなくなった。寮にこもりきりでは息が詰まる。特に下級生ほどストレスをためやすく、部内の空気のよどみを少なからず感じて…

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