特集

カルチャープラス

カルチャー各分野をどっぷり取材している学芸部の担当記者が、とっておきの話を報告します。

特集一覧

コロナの世「おら、人間ぞ!」 緒方正人さんの叫び 水俣の名著、2冊が復刊

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
「一人の人間に立ち返ってほしい」と話す緒方正人さん=熊本県芦北町女島で
「一人の人間に立ち返ってほしい」と話す緒方正人さん=熊本県芦北町女島で

 <土曜カルチャー>

 コロナ禍の中で昨年、長らく絶版状態だった2冊の本が復刊された。熊本県芦北町女島の漁師、緒方正人さん(67)の『チッソは私であった 水俣病の思想』(河出文庫)と『常世の舟を漕(こ)ぎて 熟成版』(ゆっくり小文庫)で、その言葉は古びず、真っ正面から突き刺さってきた。先行きの不安が世界を覆い、さまざまな問題や格差が表出した今の社会を緒方さんはどのように眺めているのか。言葉を聞きたくて、女島を訪れた。

 目の前に海が広がる自宅の離れ「游庵(ゆうあん)」で緒方さんは話し始めた。復刊された『常世の舟~』の帯には「おら、人間ぞ!」の言葉が記されている。

この記事は有料記事です。

残り1763文字(全文2045文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集