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<土曜カルチャー>
コロナ禍の中で昨年、長らく絶版状態だった2冊の本が復刊された。熊本県芦北町女島の漁師、緒方正人さん(67)の『チッソは私であった 水俣病の思想』(河出文庫)と『常世の舟を漕(こ)ぎて 熟成版』(ゆっくり小文庫)で、その言葉は古びず、真っ正面から突き刺さってきた。先行きの不安が世界を覆い、さまざまな問題や格差が表出した今の社会を緒方さんはどのように眺めているのか。言葉を聞きたくて、女島を訪れた。
目の前に海が広がる自宅の離れ「游庵(ゆうあん)」で緒方さんは話し始めた。復刊された『常世の舟~』の帯には「おら、人間ぞ!」の言葉が記されている。
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