生活保護「家族に知られたくない」 扶養照会に抵抗感、受給の壁に

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新型コロナウイルスの影響で住居を失った人などの相談を受けたコロナ被害相談村でも生活保護に関するアンケートが実施された=東京都新宿区の大久保公園で、東海林智撮影 拡大
新型コロナウイルスの影響で住居を失った人などの相談を受けたコロナ被害相談村でも生活保護に関するアンケートが実施された=東京都新宿区の大久保公園で、東海林智撮影

 生活保護を申請した人の親やきょうだいなどの親族に連絡し、当事者を援助できるかどうかを尋ねる「扶養照会」が生活保護の申請をためらわせ、受給する際の心理的な負担になっている--。困窮者支援団体によるアンケートでこうした実態が明らかになった。関係者は、「扶養照会が『最後のセーフティーネット』と呼ばれる生活保護の利用を阻害している」として運用改善を求めている。【遠藤拓】

 アンケートは年末年始に東京都内各地で催された当事者への食事提供や生活相談の場で、一般社団法人つくろい東京ファンド(稲葉剛代表理事)が実施した。回答者165人の9割超が男性で、平均年齢は56・0歳だった。

 アンケートによると、生活保護を利用しているか過去に利用していた59人のうち、扶養照会に「抵抗感があった」と回答したのは32人(54・2%)だった。現在、生活保護を利用していない128人に理由を尋ねると(複数回答可)、「家族に知られるのが嫌だから」が最も多い44人(34・4%)。制度や運用がどう変わったら利用したいかを尋ねると(複数回答可)、「親族に知られることがないなら」が最多の51人(39・8%)だった。

 回答者からは、扶養照会を巡り「田舎だから親戚にも知られてしまう」「今の姿を自分の娘に知られたくない」「年取った両親をビックリさせたくない」といった意見が寄せられ、生活保護を「恥」と捉える風潮の根強さをうかがわせる。

 生活保護を受ける際は預貯金や働く能力を活用することが要件とされているが、親族の扶養を受けることは要件ではない。厚生労働省はDV(家庭内暴力)加害者や70歳以上の高齢者らへの扶養照会は不要とする通知を出している。

 稲葉氏は「生活保護の利用を阻害している一番大きな要因は扶養照会だ。必要なく有害な扶養照会はやめてほしい」と指摘し、当事者の承諾なしで扶養照会をしないよう求めている。

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