「最期の瞬間を知りたい」に応えたい 調査会社発足させた交通事故遺族の元警察官

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日本交通事故調査機構の代表として事故被害者遺族に寄り添い続ける佐々木尋貴さん=仙台市青葉区の事務所で2020年11月13日午後7時5分、高井瞳撮影
日本交通事故調査機構の代表として事故被害者遺族に寄り添い続ける佐々木尋貴さん=仙台市青葉区の事務所で2020年11月13日午後7時5分、高井瞳撮影

 等身大の実験用マネキンが何体も横たわり、ロッカーの中には資料がずらりと並ぶ。2020年の暮れ、仙台市青葉区の住宅街の一角にある事務所に、パソコンに向き合い作業する宮城県警の元警察官、佐々木尋貴さん(56)の姿があった。11年前、高校生だった長男を交通事故で亡くした佐々木さんは警察を辞め、12年に交通事故調査会社「日本交通事故調査機構」を発足させた。以来、被害者の「最期の瞬間」の調査を続けている。

 10年10月25日朝、当時高校3年生だった、佐々木さんの長男一尋さん(当時18歳)は自転車で登校中、交差点で車にはねられた。意識不明の重体。病院の集中治療室で回復を祈る佐々木さんのそばで、妻と娘が言った。「お兄ちゃんの革靴が無いの。どこ行っちゃったのかな」。事故の衝撃で片足だけ脱げた靴が無いことを気にしていた。「こんな時に靴なんてどうでもいいじゃないか」

 小学生のころから野球一筋で甲子園出場を目指していた一尋さんは、…

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