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東京へ ともに歩む

毎日新聞

古坂大魔王さんがプロデュースするピコ太郎さん=エイベックス・マネジメント提供

東京・わたし

古坂大魔王さん 「ピンチはチャンス」 新しい形のオリンピックを

 金色の衣装の中年歌手ピコ太郎をプロデュースする、芸人の古坂大魔王さん(47)はいつも前向きだ。新型コロナウイルスの広がりに対して昨年、正しい手洗いを伝える動画「PPAP-2020-」を発表。開催を危ぶむ声が高まる東京2020大会については「こんな状況だからこそできる新しい形がある」と語る。【本橋由紀】

 ――軽快な音楽に合わせて「♪Wash! Wash! Wash!」と歌うピコ太郎さんの手洗い動画「PPAP-2020-」が評判です。2016年に大反響を呼んだPPAPは「Pen-Pineapple-Apple-Pen」でしたが、今度は「Pray for People And Peace」。世界共通の願いですね。これを作ろうと思われたのはどうしてでしょう。

◆コロナ禍の中で、今すぐ私たちができる感染予防対策を、何とか楽しんでできないかと考えたことがきっかけです。日本では手洗いが浸透していますが、世界ではまだまだ習慣になっていない国も多い。世界中の人々がこの機会に手洗いを習慣にするようになればという思いもあって、「PPAP」をベースに制作しました。

 ――コロナによって、人と人との接触を減らさなければならなくなるなど「分断」が進んでいます。「分断」を乗り越えるにはどのようなことをしたらいいとお考えですか。

◆「分断」を乗り越えるには、「想像力」です。実際に会えなくても変わらずに愛している誰かがいるのと同じように、あなたも誰かに愛されていることを理解してください。愛は最強なんです!

古坂大魔王さんがプロデュースするピコ太郎さんは、子どもが大好き=エイベックス・マネジメント提供

新しい形のオリンピック

 ――想像力を働かせ、愛で乗り越えるんですね。コロナで延期された東京2020大会は今年、開催が予定されています。古坂さんは故郷の青森を走る聖火ランナーにも選ばれていますが、報道各社の世論調査では開催に賛同する人が減っています。オリンピックについて、考えていらっしゃることがありますか?

◆次回のオリンピックからはずれてしまう競技もあるので東京2020大会はぜひやってほしいです。

 ――野球やソフトボール、空手などですね。

◆(コロナ下では)従来のように世界中から選手や観客が集まってみんなで盛り上がるようなオリンピックの形は不可能かもしれません。でも、裏を返せば、こんな状況だからこそできる新しいオリンピックの形があると思います。ピンチはチャンスでしかない!

 オンラインであれば、どこにいても誰でも見られるというメリットがありますよね。逆もまたしかりで、アスリートたちだって、どこにいても競技に参加できると思うんですよ。おのおのが違った場所で競技をしている姿を、一つの映像にリアルタイムでまとめて映す。気温や風、標高など、競技場の環境を含めて同じ条件でないとフェアではないかもしれませんが、もしこれがクリアできたら、新しいオリンピックの形が誕生するのではないかと思っています!

パラリンピックは「かっこいい」

 ――ピンチをチャンスに。「1年間、準備する時間が増えた」と前向きに発言する選手の皆さんもいます。パラリンピックについてはいかがでしょうか。

◆パラリンピックの応援番組に出演したことがあるのですが、パラリンピックに出る選手の皆さんは、一目で並々ならぬ困難を乗り越えたことが分かるものすごいパワーを持っていました。そして何より競技をしている姿がかっこいい。選手自身の技術だけでなく、その技術を最大限に押し上げるさまざまなギアがあって、更にそのギアを操作する技術。二つの技術が重なって競技をするパラリンピック。かっこいいに決まってますよね。

 ――そうですね。心動かされます。東京2020大会のレガシーということも言われますが、この大会によって、日本や世界の社会にどのようなことを残せればいいと思われますか?

◆大変な事態であることは重々承知しています。その上で、実はラッキーなのではないかとも思っています。我々日本が得意な、「追い込まれた時の底力」を見せられるじゃないですか。世界が初めて体感する事態の中で、最初のオリンピックができる。システムやマインドを含め、今後100年間のオリンピックの基盤になるものを日本だからこそ作れるという気がしています。

「今だからこそ、新しい形のオリンピック・パラリンピックを」と語る古坂大魔王さん=エイベックス・マネジメント提供

子どもたちの笑顔と出会いたい

 ――ところで弊社は、1996年から小児がん征圧キャンペーン「生きる」を続けてきました。今年1月末には東京2020大会に向けて準備するアスリートと小児がんなどの難病と闘う子どもたちを応援メッセージでつなぐプロジェクト「ともに、かなえる」をスタートさせました。ピコ太郎さんも小児がんのお子さんを応援していますね。どなたかとの出会いなどがあったのですか。

◆2018年にあいりちゃんに出会いました。ピコ太郎のことが大好きでPPAP以外の曲も全部歌えるほどでした。あいりちゃんを見てふと気付いたことは、ただただ純粋に生きているということ。純粋な子どもたちの笑顔を見られることが、どんなに素晴らしいことなのか。

 一生懸命生きていたあいりちゃんの笑顔に再認識させられました。

 ――昨年に続き、国際小児がんデーにあたる2月15日のチャリティーコンサートにピコ太郎さんは出演されますね。今年はオンラインイベントですが、その見どころを教えてください。

◆リアルイベントと比べると……と思う方もいるかもしれませんが、リアルと違って、オンラインなら誰でも、どこからでも、見られる。つまり、会場に来られない人も同じように見られるということなんです。

病室にいる子どもたちが踊ったり、笑ったりできるのはオンラインならではだと思っています。子どもたちの反応が楽しみです。

 ――ピコ太郎さんにもお聞きします。昨年の国際小児がんデーのチャリティーコンサートの反響はどうでしたか。

◆いやー、ウケました。病室から見ていた子どもが笑っていたと聞いて、とてもうれしかったですぴ。ポケットからピコです!

 ――ピコ太郎さんがこうした活動をなさる原動力はなんですか?

◆私ピコ太郎には、活動理念が三つあります。そのうちの一つが世界平和なんです。

 子どもたちが笑ってこその平和だと思っているので、子どもたちを笑わせるために活動していますぴ。最近苦しんでいるのは活動理念の中の一つでもある、宇宙物質ダークマターの存在証明です。てへピコ。

 ――ピコ太郎さんは子どもがお好きなんですね。

◆私の好きなものは、塩辛、小石、そして子どもです!

子どもが好きすぎて、もし子どもがいたら名前を「こども」にしようと思っている、それくらい子どもが好きですぴ。

 子どもたち〜!見てる〜?変な金ピカのおじさんだよ〜! おじきペコピコ。

こさかだいまおう

 1992年、お笑い芸人「底ぬけAIR―LINE」でデビュー。「ピコ太郎」プロデューサー。文部科学省や総務省をはじめ五つの省庁にて、さまざまなプロジェクトのアンバサダーを務めている。現在は、バラエティー・情報番組への出演、世界のトップランナーたちとのトークセッションなど、お笑いや音楽のみならず、幅広い分野で活躍中。

本橋由紀

毎日新聞オリンピック・パラリンピック室委員/東京編集編成局編集委員。1963年東京都生まれ。1987年入社。東京社会部、英文編集長、夕刊編集部デスクなどを経て2011年に福島支局長、13年地方部長など。18年7月から現職。高校時代は水泳部、早稲田大学ではラグビー蹴球部副務を務めた。17年のつくばマラソンを3時間43分59秒で走り、ベストを更新した。