特集

森五輪組織委会長辞任

東京オリ・パラ組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言から辞任。五輪憲章にも背く発言に、国内外から批判が集まりました。

特集一覧

社説

森会長の続投論 「仕方がない」は、やめよう

 驚くべき世論とのずれである。

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさんいる会議は時間がかかる」と述べた問題で、政府や五輪関係者がそろって森氏の続投を支持している。

 菅義偉首相は国会で「辞任を求める権限はない」と、人ごとのように語った。国際オリンピック委員会も、森氏の謝罪により「この件は終わった」との見解だ。

 だが、撤回や謝罪で済む問題ではない。五輪憲章はあらゆる差別を認めない。それに反する認識を持つ人が、トップに座り続けることは許されない。辞任すべきだ。

 続投に抗議するオンライン署名への賛同は13万件を超えた。日本にある欧州各国の大使館が「女性差別反対」のメッセージを発信した。東京都に抗議の電話が殺到し、大会ボランティア辞退の申し出も相次いでいる。

 にもかかわらず、関係者が続投でまとまるのは、開幕まで半年を切る中で、事態の収拾を優先したからだろう。

 今回の問題は、男性優位と事なかれ主義が根強い日本社会のあり方にも疑問を投げかける。

 政府が「男女共同参画」を掲げて20年以上がたつ。しかし世界経済フォーラムが公表している「男女の格差指数」で、日本は153カ国中121位だ。

 政治や経済の分野で女性に挑戦の機会が十分に与えられず、地位も待遇も低い。これが、女性は指導的立場に向かないという「無意識の偏見」につながっている。

 意思決定の場に参画できる女性は少なく、意見を言えば「わきまえていない」と排除されがちだ。

 女性役員比率が高い企業は業績が良いという外国の調査結果がある。均質な集団から革新的なアイデアは生まれにくい。

 多様性の大切さが共有されながら、日本の現状が改まらないのはなぜか。時代錯誤なリーダーの振る舞いに異議を唱えず「代わりがいない」「仕方がない」と諦めてしまう。そうした対応を続けてきた結果ではないか。

 署名を呼びかけた女性たちは「こんな問題は私たちの世代で終わりにしたい」と述べた。

 今回の問題を変革の契機にできるか、日本社会が問われている。

【森五輪組織委会長辞任】

時系列で見る

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

注目の特集