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エンジンに潜む「魔物」に挑む技術陣 H3ロケット、開発大詰め

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報道陣に公開された開発中のロケット「H3」の第1段機体(奥)=愛知県飛島村の三菱重工業飛島工場で2021年1月23日、池田知広撮影
報道陣に公開された開発中のロケット「H3」の第1段機体(奥)=愛知県飛島村の三菱重工業飛島工場で2021年1月23日、池田知広撮影

 日本の次期主力ロケット「H3」の開発が大詰めを迎えている。今後20年間にわたり「宇宙への足」となる重要なロケットだが、主エンジンが不調で、1号機打ち上げは1年遅れの2021年度中となった。衛星打ち上げ受注を巡る海外勢との競争も激しさを増す。

 三菱重工業の飛島工場(愛知県飛島村)で1月23日、発射場のある種子島宇宙センター(鹿児島県)への出荷を前に、H3の胴体部分となる第1段と第2段の機体が報道陣に公開された。

 「ようやくここまで来た。ロケットの構想を始めたのが12年ごろ。構想が形になるすごさを感じる」。巨大な機体を前に、三菱重工と共同開発を進める宇宙航空研究開発機構(JAXA)の岡田匡史・プロジェクトマネジャーは感慨深げに語った。機体は船で運ばれ、30日に種子島へ到着。トレーラーで運搬中にコンテナが傾くトラブルもあったが、機体に異常はなく、組み立て作業が始まった。

 H3の「H」は水素の元素記号で、燃料に液体水素と液体酸素が使われる。05年以来、46回続けて打ち上げに成功している「H2A」「H2B」の後継機だ。世界最高水準の信頼性を引き継ぐとともに、衛星打ち上げ受注につながる打ち上げ費用の大幅な削減を目指す。衛星を打ち上げたい民間企業や海外政府など顧客の需要に柔軟に応じるため、脇に取り付ける「固体ブースター」の本数と、内部に衛星を格納する「フェアリング」の長さを変え、打ち上げ能力の異なる複数の形態を設ける。

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