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初の共通テストから見えてきた2021年入試 駿台・石原賢一さんが解説

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問題が配布される中、試験開始を待つ受験生たち=北九州市小倉南区の北九州市立大で2021年1月16日
問題が配布される中、試験開始を待つ受験生たち=北九州市小倉南区の北九州市立大で2021年1月16日
駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長 拡大
駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長

 大学入学共通テストが終了し、私立大の一般入試が2月1日から始まった。初の開催となった共通テストはどうだったのか。またコロナ禍の中、今年の大学入試はどうなるのか。入試シーズン本番を迎えての動向を駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長に聞いた。【中根正義】

準備をしてきた現役生が“健闘”した共通テスト

 ――初の共通テストは難しくなると予想されていましたが、昨年の大学入試センター試験と比べて大きな変化はなかったようですね。

 約54万人が志願した共通テストですが、駿台とベネッセが約41万人の受験生の協力を得て集計した平均点を見ると、5教科7(8)科目の平均点は文系が552点で昨年より4点プラス、理系は572点で13点プラスとなりました。

今年の共通テストと昨年のセンター試験の科目別現役浪人生の平均点比較=駿台とベネッセの集計から算出 拡大
今年の共通テストと昨年のセンター試験の科目別現役浪人生の平均点比較=駿台とベネッセの集計から算出

 今年の試験で特徴的だったのは、表の通り、現役と浪人の差が大半の科目で縮まったことでしょうか。1年間、じっくり受験勉強してきた浪人生のほうが有利なことは変わらないのですが、英語・リスニング、政治経済、生物では3点以上も差が縮まりました。現役生が試行調査(プレテスト)を基にした模試などを高2時点から受けたり、それを踏まえて準備をしたりしてきたことが、この結果に表れているように感じます。

 ――特に英語はセンター試験からの変更点が多かったですが、その影響もあったのでしょうか。

 英語は大きく二つの点が変わりました。まずは配点です。「筆記200点、リスニング50点」から「リーディング100点、リスニング100点」と「聞く力」の比重が高まりました。さらに、リーディングはセンター試験時代に行われていた筆記とは異なり発音、アクセント、文法などを単独で問う問題がなくなり、英文の内容を素早く読み取り、それを使って情報を処理し、運用するという力が求められるようになったのです。英文の意味を正しく読み取るだけではなく、その先のことまで考えることが求められるようになったともいえるでしょう。

 そして、現役生は高校に入る前から、このような新しいテストに変わるということを意識して準備してきたようです。なので、従来型の英語の勉強をしてきた浪人生に比べ、現役生は取り組みやすかったとも言えます。

 思い起こしてほしいのですが、共通テストでの英語は、これまでの「読む」「書く」から4技能(読む、書く、聞く、話す)を評価するために、英検などの民間試験を活用しようとしていました。公平性などの問題から2019年11月に導入が見送られました。ただ、高校現場では4技能を重視した授業が行われるようになり、今回の出題傾向に慣れていたともいえるでしょう。

「使える英語」を意識した出題

 ――今回の問題内容や構成に関しては、論理的な思考力を測れない、と異議を唱える専門家もいました。

 今回の出題からは「使える英語」を意識していたことが読み取れます。そういうメッセージを教育現場に伝えたと考えれば、論理的な思考力に関しては、各大学が個別試験で問えばいいのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

 ――共通テストを踏まえ、志望動向にはどんな変化が出てきますか。

 平均点がアップすることで、難関の医学系統、薬学系統など理系学部の志望者が増加しそうです。しかし、最難関の東大理科三類なども含め、国公立大医学部医学科への志望動向は共通テストで高得点を取った上位層は前年より減っている傾向があります。しっかりと準備ができているのなら、少々強気の出願をしてもいいのではないかと考えます。注意が必要なのは、近年急速に人気が高まっている情報系です。上位層も多く、出願は個別試験の内容も含めて十分な検討が必要になりました。

 一方で、コロナ禍ということもあり、国際関係や語学系の学部は大きく志願者を減らしそうです。また、模試では人気傾向にあった保健衛生学系統の学部は前年並みに落ち着きそうです。

 ――個別の大学はいかがですか。

 難関国立大は京大を除き、志望者を増やしています。中でも北海道大や九州大は、地元志向の高まりが影響しており人気を集めています。東大や京大といった大学に出願してもおかしくない層が流れています。共通テストの比率が高い神戸大も人気です。準難関大や地方国立大も志望者を集めていますが、これも地元志向の高まりが影響しています。一方で、京大は今一つといった状況が見られます。関西圏には大阪大、神戸大といった難関大があるほか、地方の受験生の地元志向、安全志向の影響を受けているようです。

入試会場に入る前に手の消毒をする受験生たち=兵庫県西宮市の関西学院大で、2021年2月1日 拡大
入試会場に入る前に手の消毒をする受験生たち=兵庫県西宮市の関西学院大で、2021年2月1日

 ――私立大の最新の動向を教えてください。

 首都圏、関西圏の主要私立大の志願者数は減少が目立ちます。首都圏で一般選抜の志願者数が増加した大学は、一般選抜で全学部入試を中心に、試験日を複数日設定して受験機会を増やした立教大が増加しているのが目立ちます。また、新規に共通テスト利用を導入した上智大、学習院大はそれぞれ微増です。

 一方、青山学院大は学部個別試験で経済学部を除き、共通テストの必須化と個別試験を記述式に変更しましたが、コロナ禍で受験生への浸透がうまくできなかったことで、大きく減らしています。

 関西圏も同様の傾向がみられ、総じて減少傾向ですが、関西学院大は理工学部を4学部に改組した効果か、確定した後期日程以外では微増となっています。

 なお、近畿大はすでに確定した志願者数のみで10万人を超えています。現状では他大学で志願者数が10万人に届くところはなさそうです。

 ――コロナ禍の中、宇都宮大や東京外国語大など、2次試験に関して当初の予定を変更する大学があります。今後の注意点などを教えてください。

 各大学とも、入試直前までいろいろな対策を取っています。例年以上に志望校のホームページのチェックは怠らないようにしてください。今後の情報確認をしながら、健康に注意し、2次試験に向けた準備を焦ることなく進めてください。

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