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「石綿」で建材会社敗訴 救済の仕組み作り直ちに

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 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、病気になった元作業員らが起こした裁判で、建材メーカーへの賠償命令が確定した。

 計約3億円の賠償を命じていた大阪高裁判決について、最高裁が国とメーカー8社の上告を退ける決定を出した。

 国による賠償は昨年12月、同種裁判の最高裁決定でも認められている。責任が確定した以上、国とメーカーは速やかに被害者の救済に乗り出すべきだ。

 全国で起こされた裁判では、これまでに出た15件の1、2審判決のうち、14件で国の責任が認定された。一方で、メーカーへの賠償命令は8件にとどまっている。

 どのメーカーの建材に含まれる石綿で被害を受けたか、特定するのが困難なためだ。

 建設作業員は数多くの現場で働いている。石綿の被害は「静かな時限爆弾」と呼ばれ、吸い込んでから数十年たって中皮腫や肺がんなどを発症することがある。

 大阪高裁判決は、メーカーが石綿の危険性や防護対策を建材に表示すべきだったにもかかわらず、怠っていたと認定した。

 その上で、一定の市場シェアを持つメーカーの建材ならば、原告が働いた現場でも使われていた可能性が高いと指摘して、賠償を命じていた。

 こうした考え方を支持した最高裁の決定は、積極的に被害者の救済を図ろうとしたものだろう。

 石綿の危険性は早くから指摘されていたが、安価で耐火性に優れるため、建設需要が高まる中、メーカーは建材として広く流通させてきた。国も長らく規制せずに放置し、被害を拡大させた。

 提訴した元作業員は全国で900人を超えるが、既に600人以上が死亡した。近年も毎年500人前後の建設関係者が、石綿による健康被害を認められている。

 原告側は国とメーカーが基金をつくり、被害者に補償する制度を提案している。メーカーに対しては、石綿の使用量に応じて資金を拠出するよう求めている。

 田村憲久厚生労働相は、解決に向けた協議の場を設ける意向を示したが、いまだに具体的な動きは見えない。メーカーも参加して、救済の仕組み作りを急がなければならない。

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