民主主義の限界を「くじ引き」が救う? 北海道大・吉田教授に聞く

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吉田徹・北海道大教授=東京都千代田区で2020年3月19日、藤井太郎撮影
吉田徹・北海道大教授=東京都千代田区で2020年3月19日、藤井太郎撮影

 「くじ引き民主主義」の試みが欧州で広がりをみせている。フランスでは、全国から抽選で選ばれた一般市民150人が脱炭素社会の道筋について話し合い、政府はその結果を基に国民投票を実施することを約束した。なぜ今「くじ引き」が必要とされるのか。日本での展望は? 欧州政治に詳しい北海道大の吉田徹教授と考える。【聞き手・八田浩輔】

疲弊する代議制民主主義

 ◆欧州では抽選で選ばれた一般市民が国家や地域の課題について討議する手法が広がっています。「くじ引き民主主義」が広がる背景には何があるのでしょうか。

 ――代議制民主主義が機能不全を起こしているためだ。多くの先進国で政治家や政党不信が高まっており、フランスの世論調査では政治家は有権者のことを顧みていないと答える人は8割に達している。トランプ現象やブレグジット(英国のEU離脱)など欧米でのポピュリズムの台頭は、代議制民主主義が機能不全を起こした結果だ。「くじ引き民主主義」はこうしたエリート不信を乗り越えようとする意識から出てきた。市民や有権者が自ら討議し、国や自治体の政策形成にかかわる別の民主的な意思決定の方法となるからだ。

「画期的」なフランスの試み

 ◆フランスではマクロン大統領の発案で全国から抽選で選ばれた市民が9カ月にわたって気候政策を討議する会議が開かれました。その提言に従い、マクロン氏は気候変動に取り組む責任を憲法に明記するため、国民投票を行う用意があると表明しました。

 ――18年からフランス各地で続いた「黄色いベスト」運動を受けて打ち出したマクロン政権の改革の一つだ。日本風に言えば「上から目線」が批判されていたマクロン氏は、どのように市民の納得感を得つつ改革を進めるかという方針転換を迫られた。…

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