「内戦を語り継がねば」 故国を逃れたジャーナリストの思いは

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
シリア内戦を取材し、ブラジルで避難生活を送るシリア人ジャーナリスト、ビクトリオス・シャムスさん=サンパウロで2021年2月4日、山本太一撮影
シリア内戦を取材し、ブラジルで避難生活を送るシリア人ジャーナリスト、ビクトリオス・シャムスさん=サンパウロで2021年2月4日、山本太一撮影

 中東シリアの内戦を命がけで報道したシリア人ジャーナリストが南米ブラジルにいる。生まれ育った地元の小さな抗議活動がきっかけになったとされる内戦が始まってから3月で10年。避難生活を送るブラジルなどの情勢をアラビア語で報じながら、母国で起きた惨事を語り継ぐ構想を練っている。

 シリア南部ダルアー県出身のビクトリオス・シャムスさん(45)。2011年3月、母国で内戦が始まったときには、隣国レバノンの大学で政治学を学んでいた。内戦の発端は、ダルアーで始まった抗議活動と言われる。市民は、アサド政権の独裁を批判する落書きをして拘束された少年グループの釈放を要求。3月15日から全土に反政府デモが広がり、反体制派と政府軍による内戦に発展した。

 当時のシャムスさんに取材経験はほとんどなかった。それでも、「声を上げる市民を簡単に殺す政府の横暴ぶりを伝える」ため、11年9月末に戦闘が激化するダルアー県に戻った。

 政府は都合が悪い情報を流すジャーナリストを反体制派とみなして弾圧。このため、シャムスさんは連日、政府軍に目をつけられないように街を歩き、目の前で起きた全てのことを必死で記録したという。政府軍兵士による市民への暴行や、破壊されて廃虚同然になった住宅街を撮影するなどした。ネット交流サービス(SNS)に投稿した写真や映像は、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラなど有力メディアでも放映された。

  ◇「ジャーナリストは殺される」

 内戦の実情を現場から伝えるジャーナリストが限られる中、使命感を強くしたシャムスさんだが、11年10月末に転機が訪れた。市街地を攻撃する政府軍を撮影しているところを見つかり、…

この記事は有料記事です。

残り832文字(全文1531文字)

あわせて読みたい

注目の特集