地震でまたも飛び交ったデマや差別発言 桁違いの拡散、どう対処?

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写真はイメージ=ゲッティ

 13日深夜に福島県と宮城県で震度6強を記録した地震をめぐっては、またも差別的な発言やデマ、不確実な情報がツイッターやユーチューブなどで飛び交った。災害のたびに同じような現象は起きている。かつて関東大震災ではデマがきっかけで朝鮮半島出身者らへの虐殺も起きた。しかし、当時に比べ、今は情報の広がるスピードが桁違いに速い。そうした悪質な情報にどう対処したらいいのか。【大迫麻記子/統合デジタル取材センター】

「井戸に毒を投げ込んだ」

 地震の直後からツイッターで目立った差別的なデマは「朝鮮人」や「黒人」などが「井戸に毒を投げている」というものだ。1923年の関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「暴動を起こした」などのデマが流れたが、それをまねたとみられる。当時はそのデマを真に受けた市民らによる朝鮮半島出身者や中国人らへの虐殺事件が各地で起きた。

 「人工地震」といった書き込みも散見され、中には「安倍晋三前首相が起こした人工地震」などという荒唐無稽(こうとうむけい)な投稿もあった。地下核実験などで地震が起きることはあるが、今回のような大規模な地震を人工的に起こすことは不可能だ。ツイッターでは一時「人工地震」がトレンド入りした。ただ、誤りであることを指摘したり「陰謀論」と皮肉ったりする内容のツイートの方が多く、一種の話題として盛り上がりを見せたケースといえる。

千葉県の「爆発」は人々の勘違い

 災害時にデマが流れやすいのは、人々に不安があるためだ。そのため、悪意はなくても事実と異なる情報が広がってしまうことも多い。

 今回は千葉県市原市の臨海部で爆発が起きたとする複数の動画や画像が拡散された。確かに工場施設の排気筒から炎のようなものが出ているように見える。しかし、市原市消防局によると工場施設での爆発や火災は確認されていない。同市に石油関連施設を持つ会社関係者によると、石油製品生産プラントでは常に余ったガスを燃焼させているが、地震による停電で装置を止めたために多くのガスが排出され、普段より炎が多く発生したという。それを見た多くの人が勘違いしたとみられる。

 近年、大規模な災害が起きるたびに、デマの拡散はネットを舞台に繰り返されてきた。

 2011年の東日本大震災では被災地で「外国人犯罪が横行している」とのデマが流れ、東北学院大の研究者が仙台市民に調査したところ、8割以上が「それを信じた」と回答している。18年7月の西日本豪雨でも「火事場泥棒の中国人、韓国人、在日朝鮮人たちが――」とのデマが流された。

 刑事事件になったケースもある。16年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」との偽情報をツイッターに投稿した神奈川県の男が動物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害容疑で逮捕されている。

メディアの報道を待ち悪質な情報は通報を

 誤った情報の拡散に加担しないためにはどうしたらいいのか。ネット上のデマに詳しいジャーナリストの津田大介さんは「不確実な情報に接したらすぐに拡散せず、メディアが報じるのを待ってほしい」と話す。「新聞やテレビの情報は信頼性が高いし、最近は報道も速い」

 差別やヘイトスピーチなどの悪質な書き込みを見つけたらどうすればよいのか。「差別扇動のような明らかに悪質なツイートは、どんどん通報すべきです」と津田さんは言う。

 ツイッターには、悪質な内容のツイートをツイッター社に通報する仕組みがある。問題のあるツイートを開いた時に表示される3点リーダーから「ツイートを報告」を選ぶことで簡単にできる。そのツイートの内容がルールに反すると認められれば、投稿者に対する削除要請や投稿制限、問題のツイートの非表示などの措置が取られる。

 津田さんは地震発生直後から、問題のあるツイートを次々にリツイートして通報を呼びかけた。「緊急時の扇動的な情報は具体的な暴力につながります。短時間で多くの通報があることでツイッター社の処理の優先度が上がることを期待しました」。津田さんによると、投稿者が軽い気持ちで書き込みをしている場合、非難を受けると驚いて自分で削除することも少なくないという。津田さんがリツイートした悪質な投稿の大半は、投稿者が自ら削除したという。

 津田さんは情報を受け取る側の知恵も必要だと指摘する。「虚偽情報の『質』は年々高まっていて、数年前の画像をアップして今起きているように見せかけるケースもあります。ブラウザーの画像や動画検索の機能を使って、それが本物かどうか確認してみてください」

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