なぜ差別が生まれるのか 戯曲「人類館」は問う 21日まで配信
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今から118年前の明治時代後期、大阪で起きた「人類館事件」。沖縄に対する差別の象徴とされるこの事件を題材に制作された戯曲が7年ぶりに沖縄で上演され、16日からネット配信も始まる。女性への蔑視発言や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療従事者らへの偏見などが問題となる中、「人類館事件」は投げ掛ける。なぜ人間は差別を生んでしまうのかと。【遠藤孝康/那覇支局】
1903(明治36)年3~7月、大阪市の天王寺周辺で政府主催の内国勧業博覧会が開かれた。産業の発展による国力の強化を国内外に示す博覧会で、会場の外の民間パビリオンとして設置されたのが「学術人類館」だった。館内では「異人種」として、アイヌや台湾先住民たちのほか、琉球人(沖縄の人たち)らが見せ物として「展示」された。当時の開設趣意書には「生息の階級や程度、人情、風俗などの固有の状態を示すことは学術上、商業上、工業上の参考として有要」とある。
2005年に出版された「人類館 封印された扉」によると、中国人や朝鮮半島出身者の「展示」も計画されたが、抗議の声が上がり、館の開設前後に相次いで中止された。琉球人として「展示」されたのは沖縄の女性2人。開設から約1カ月たって、沖縄の地元紙でも「展示」を非難する社説や記事が掲載され、期間途中に琉球人の「展示」は中止された。北海道や沖縄、台湾など、明治政府が新たに支配下に置いた地域の人々への当時の差別意識が表れた「事件」だった。
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