SNSで渦巻く「上級国民」批判のワケ 作家・橘玲さんと考えた

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橘玲さんの著書「上級国民/下級国民」=小学館提供
橘玲さんの著書「上級国民/下級国民」=小学館提供

 「上級国民」という言葉をご存じだろうか。自民党の石原伸晃元幹事長が新型コロナウイルスに感染後、無症状でもすぐに入院できたことや、自民党本部の全職員がPCR検査を受けると報じられると、ツイッターでは「上級国民だからか」といった反発の声であふれ返った。一部の特権的な階級にあると見られている人たちへの不満が大きくなった場合に使われるネットスラングという。この言葉が多用される背景には何があるのだろう。「上級国民/下級国民」(小学館新書)の著書がある作家、橘玲さんと考えた。【大野友嘉子/統合デジタル取材センター】

コロナ禍の不安に裏打ちされた反感

 ――ネット交流サービス(SNS)では「上級国民」という言葉が定着し、時に氾濫することもあるようです。発信する人はどんな思いなのでしょうか。

 ◆コロナ禍で病院が満床になったり、自宅療養中の人が死亡したりするニュースが連日報じられ、「感染しても治療してもらえないのでは」「入院できないのでは」という不安が広がりました。そんな中、政権与党の議員である石原氏が無症状で入院したというニュースは、「特権階級」への優遇のように映りました。それに対する反感が「上級国民」という言葉になって表れたのだと思います。

 コロナ感染による入院やワクチン接種の順番が問題になっていますが、医療従事者、年齢や既往症で優先順位を決めるなど、公平なルールがあれば世間も納得するでしょう。場合によっては政治家が優先的に入院・治療を受けることは、社会にとって必要かもしれませんが、多くの人が受け入れられるルールを決めなければ、「上級国民」批判が再燃する可能性があります。

 ――そもそも「上級国民」という言葉はいつから使われるようになったのでしょうか。

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