SUNDAY LIBRARY
岡崎 武志・評『朝鮮戦争を戦った日本人』『0番目の患者 逆説の医学史』ほか
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今週の新刊
◆『朝鮮戦争を戦った日本人』藤原和樹・著(NHK出版/税別1900円)
1つの国が南北で分断され、米中の介入により過激化した「朝鮮戦争」(1950~53年)。日本は物資供給などで輸出が伸び、「特需」が起きた。対岸の火事による漁夫の利だと思われていた。
藤原和樹『朝鮮戦争を戦った日本人』は、朝鮮半島で「戦争放棄」したはずの日本人兵士がいたことを明らかにする。それは朝鮮半島で「米軍とともに行動した日本人」70名への尋問記録により開封された。驚愕(きょうがく)の事実である。
「出身はどこか」「なぜ朝鮮に行ったのか」「銃は支給されたか」などの詳細な質問に答える彼らから、敗戦後の日本が浮き彫りにされる。深刻な食糧難で飢え、密航という形で半島へ渡った男。「日本にいるよりよかった」と発言。悲惨な戦闘についても語ったが、国家機密として封印されたのだ。
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