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面倒臭く厄介なその先に表現の豊かさがある
◆『ふだん使いの言語学』川添愛・著(新潮選書/税別1450円)
たとえば、意中の相手への告白の言葉が「おまえのことが好きだ!」ではなく「おまえのことも好きだ!」だったとしたら、その告白は間違いなく成功しないだろう。たった1文字だけで、これだけ意図が変わってしまう。
本書にある例だが、日本語を話せる外国人を募集し、面接で「採用はちょっと難しいですね」と断ったところ、「採用してもらえるかも」と誤解されてしまった。「ちょっと」の意味は複数ある。面接官は「そう簡単にはできない」という意味合いで伝えても、相手は「少し難しいです」と理解する。それは間違いではないはずなのだ。
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