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社外取締役の活用 数合わせに終わらぬよう

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 社外取締役の役割が重みを増している。

 改正会社法が3月に施行され、上場企業などに社外取締役を置くことが義務付けられる。

 東京証券取引所などの企業統治指針も改定され、現在の東証1部に相当する上場企業には、取締役の3分の1以上を社外から登用するよう求める見通しだ。

 外部の視点を導入することで経営の透明性を高め、投資家の信任を得る狙いがある。

 社内のしがらみにとらわれず、環境の変化に応じて戦略を構想する役割も期待されている。既存の事業に固執したり、新たな挑戦をためらったりすれば、成長の機会を逃しかねないためだ。

 経済界には「内部登用の選択肢が狭まる」との反発もある。しかし、経済構造の変化に対応するには、社内外を問わず多様な人材を配置することが必要だ。

 ただし、数をそろえるだけでは不十分だ。既に東証1部上場企業の約6割で、取締役の3分の1以上を社外から起用しているものの、日本経済の停滞感は強い。

 かんぽ生命や東芝は取締役会の改革で先行し、複数の社外取締役を置いていたが、不正会計などの不祥事を防げなかった。

 十分な情報を持っていなかったり、能力不足だったりすれば、役員としては機能しない。かえって少数の生え抜きに権限が集中し、逆効果にもなりかねない。

 内部登用の役員や取締役会の運営責任者には、都合の悪い情報ほど社外取締役に伝え、判断を仰ぐ姿勢が求められよう。

 選任時には、過去の功績や能力などの適格性を、株主に対して十分に説明することも欠かせない。

 日本には、社外取締役の候補者が不足しているとの指摘もある。正社員の多くが定年まで同じ会社に勤め、社外で通用するスキルを備えた人材が育ちにくいからだ。

 このため、4~5社を掛け持ちする社外取締役もいる。これでは、腰を据えて経営を監督できるのか疑問だ。経営のプロを育て、企業に供給する人材市場のような仕組みを整えるべきだ。

 時にはトップに進退を迫る心構えを求められるのが社外取締役である。数合わせに終わるようでは、日本企業に活力は戻るまい。

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