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和解のために 2021

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基本条約めぐる日韓、認識のずれ 冷戦崩壊背景に

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インタビューに答える、朴裕河韓国世宗大教授=東京都新宿区で2020年3月6日、宮本明登撮影
インタビューに答える、朴裕河韓国世宗大教授=東京都新宿区で2020年3月6日、宮本明登撮影

 韓国のソウル中央地裁が日本政府に元慰安婦への賠償を命じた判決が1月23日に確定し、茂木敏充外相は「極めて遺憾で、断じて受け入れられない」との談話を発表した。一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの判決について「正直困惑した」と記者会見で述べ、原告側との溝が広がりつつあるという。日韓の歴史問題はどのような経過をたどってきたのだろうか。対立の根っこには何があるのか。「帝国の慰安婦」などの著書で知られる韓国・世宗大の朴裕河(パク・ユハ)教授が分析した(毎月、上・下2回に分けて掲載)。

向き合ってまだ30年の日韓両国

 30年近く日韓対立の中心にあり続けた慰安婦問題は、1990年に韓国の新聞に元慰安婦の軌跡を追うルポ記事が載り、次の年、元慰安婦の一人が自ら名乗り出たことで「発生」した。もっとも、それまで元慰安婦の声が聞かれなかったわけではない。早くから日本でも千田夏光氏の「従軍慰安婦――“声なき女”八万人の告発」(73年、双葉社)など、間接的ながらその声は社会に出されていたし、韓国でも、国交正常化のあった65年にメイン素材ではないにしても映画に登場したり(鄭昌和<チョン・チャンファ>監督「サルビン河が暮れゆく」)、露骨なまでの性的関心ではあっても主人公にした映画も存在したりした(羅奉漢<ナ・ボンハン>監督「女子挺身隊」、74年)。また、70年には新聞に解放25年シリーズの一つとして慰安婦問題が取り上げられ(「ソウル新聞」70年8月14日付)、80年代にも「手記」の形で大衆雑誌にその声が直接載り始めてもいた(「女性東亜」82年9月号、「レディー京郷」84年4月号)。

 そうしたことが90年代以降に社会問題となって大きく浮上した背景には、冷戦崩壊がある…

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