「国旗損壊罪」がとことんダメな理由 法案に自民保守からも異論

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臨時国会開会に伴い、掲げられた日本国旗=国会前で2019年8月1日午前6時59分、玉城達郎撮影
臨時国会開会に伴い、掲げられた日本国旗=国会前で2019年8月1日午前6時59分、玉城達郎撮影

 時まさにコロナ禍である。ここで自民党の右派議員たちが繰り出そうとしているのが、刑法の改正により、日本国旗を侮辱目的で破くことなどを罰する「国旗損壊罪」の新設であった。「え、今……?」と絶句したのは記者だけではあるまい。同じ自民党の参院議員、西田昌司さん(62)や民族派団体「一水会」代表の木村三浩さん(64)も首をひねっている。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

 自民党の議員連盟「保守団結の会」で代表世話人を務める城内実衆院議員や、同会顧問の高市早苗前総務相らが新設を目指す「国旗損壊罪」とは、「日本国を侮辱する目的で国旗を損壊・除去・汚損した人は、2年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す」というものだ。

 なぜ必要なのか? 刑法は92条で「外国国章損壊罪」を定めている。それなのに日本国旗の損壊罪はない。米国やフランス、ドイツ、イタリア、中国などには自国国旗の損壊罪があり、これは独立国として当然である。ゆえに日本でも国旗損壊罪を作ろう――ということだ。

 思わずうなずきたくなるが、日弁連の憲法問題対策本部で副本部長を務める伊藤真弁護士は「果たしてそうでしょうか。もっともらしい理由ですが、この考えにはいくつもの矛盾や問題点が潜んでいます」と苦い顔で首を振る。伊藤さんは資格試験指導校「伊藤塾」の塾長として、法曹界志望者にはおなじみだ。

 「まず『外国でもやっているから日本でも』ということですが、米国では確かに連邦法や州法で国旗である星条旗の尊重を課し、冒とく行為を禁じる法律がありますが、例えば連邦法の『国旗保護法』に対しては、米連邦最高裁が1990年に『表現の自由』を保障した合衆国憲法修正第1条に反するとして違憲判決を出して以降、この法律は事実上無効となっています」

 米最高裁の判断は、「象徴的言論の自由」を侵してはならない、という考えに基づいているという。

 「国旗は尊重すべきだとしても、時の権力を批判する人たちが自国国旗を焼くといった行為は、権力に対する抵抗や反対の意思を象徴する行為であり、これは表現の自由として認めなければならない、という考えです」

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