SNSが株を乱高下させた背景 米ゲームストップ株巡り公聴会
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株価下落で利益を得ようとする大手ヘッジファンドと、これに対抗して株価を押し上げようとネット交流サイト(SNS)に集結した個人投資家の争い。米ゲーム販売大手ゲームストップ株の乱高下は、インターネット証券ロビンフッドなどによる取引制限で、多くの個人投資家が損失を被る結果になった。なぜだったのか。米議会下院金融委員会は18日、この問題で初めての公聴会を開いたが、出席者はいずれも自らの責任を否定した。
業績不振に陥っているゲームストップの株価が、にわかに脚光を浴びたのは今年1月。一部の大手ヘッジファンドが、株価下落時に稼げる「空売り」を仕掛けた。他者から一定期間、株式を借りて取引するもので、株価が高い時に売り、株価が下がった後に買い戻すと、その差額が利益になる。逆に株価が値上がりすると損失が出る取引だ。
ゲームストップ株の値下がりを狙う大手ヘッジファンドに対抗して、株価押し上げで結集したのが個人投資家だった。「買い支えろ」「金持ちファンドとの戦いだ」。SNSへの投稿に押されるように、多くの個人投資家が大量の買い注文を入れたことで、株価が年初から、一時は約18倍に急騰した。
ヘッジファンドが巨額の損失を発表し、いったんは個人投資家に軍配が上がったかに見えたが、1月28日に個人投資家が多く利用するロビンフッドなどネット証券がゲームストップ株の取引を一時的に制限すると株価が急落。取引機会を失った個人投資家が損害を被った。株価の値下がりを誘う取引停止は、空売りを仕掛けたヘッジファンドを含む「ウォール街」の救済だったのではないか。そんな疑念が公聴会の焦点になった。
「ヘッジファンドの要請を受けたり、株価を動かすためだったりではない」。ロビンフッドのブラッド・テネフ最高経営責任者(CEO)はこうした疑念を否定。取引停止の理由については「清算機関から巨額の預託金を求められたため」と釈明した。ゲームストップなどの取引が急増した結果、取引を決済する清算機関から求められる預託金が1月25日の1・2億ドル(約125億円)から28日には37億ドルに急増。約30億ドルの追…
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