犬猫の劣悪飼育防げるか ペット業者への規制強化へ

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
2015年に業務停止命令を受けた東京都のペットショップで、狭いケージの中で飼育されていた猫=塩村文夏参院議員提供
2015年に業務停止命令を受けた東京都のペットショップで、狭いケージの中で飼育されていた猫=塩村文夏参院議員提供

 犬猫の繁殖業者やペットショップに対し、飼育状態やケージ(おり)の広さ、出産年齢を規制する環境省令が今年6月から段階的に施行される。数値基準を導入し、違反を繰り返した業者の飼育業登録を自治体が取り消しやすくなり、劣悪な環境で飼育する悪質業者の排除につながることが期待されている。ただ、ケージの買い替えなどの対応を迫られる飼育業者も少なくなく、廃業に伴い行き場を失う犬猫が増えることを懸念する声も出ている。【信田真由美/科学環境部】

「劣悪」の基準 数値で明確化

 環境省令は、2019年に成立した改正動物愛護法に基づく。21年6月からは、犬猫についてどのような状態が「適正な飼育」でないのか、「爪が異常に伸びている」「体表が毛玉で覆われている」など具体的な基準を初めて規定。母体への負担を減らすため、22年からは出産についても犬猫とも原則6歳までに制限する。飼育するケージの大きさも、縦と横がそれぞれ体長の2倍と1・5倍に。高さは犬が体高の2倍、猫は3倍で棚を設けて2段以上の構造にすると定める。

 従業員1人当たりの飼育数も段階的に制限する。22年6月からは繁殖業者は犬25匹・猫35匹、販売業者は犬30匹・猫40匹までだが、1年ごとに一律5匹ずつ減らし、24年6月には、繁殖業者は犬15匹・猫25匹、販売業者は犬20匹・猫30匹までに制限される。「悪質な事業者を排除するために自治体がレッドカードを出しやすい明確な基準とし、不適切な事業者をなくしていくことが何よりも重要だ」。小泉進次郎環境相は規制強化の意義を強調する。

 一部の悪質業者による劣悪な飼育は以前から問題になっていた。動物愛護法の05年改正で業者を届け出制から登録制にし、自治体による登録取り消しなどの処分が可能に。12年改正では殺傷や虐待、遺棄に対する罰則が強化された。ただ、飼育数やケージの大きさなどの適正基準について具体的な数値規制がなかったため行政指導が効果的に行えず、環境省によると統計を取り始めた09年度から19年度までの間に、業者の登録取り消し処分にまで至ったのは栃木県、徳島県、東京都で各1件ずつのみだった。

 このため、超党派でつくる「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」は20年、規制が進んでいる欧米の制度などを参考に、犬猫の飼育環境の適正基準を具体的な数値で定めた規制案を提案。これを踏まえて環境省が省令として取りまとめた。ケージの買い替えや、従業員の増員または販売や譲渡による飼育数の削減にかかる時間を考慮し、段階的な施行になった。

 動物福祉に詳しい東京農工大の入交真巳(いりまじりまみ)特任講師(獣医学)は「省令は犬猫に対して最低限どの程度のケアが必要かが数字になったもの。本当はもっと快適にしてあげた方がいいくらいだ。事業者は動物福祉をよく勉強して良い子犬、子猫を消費者に出してほしい」と話す。

悪質業者の処分容易に

 規制強化のきっかけの一つとなったのが、劣悪な環境で動物を飼育していた東京都昭島市のペットショップへの対応で都が苦慮した事…

この記事は有料記事です。

残り2820文字(全文4084文字)

あわせて読みたい

注目の特集