特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

「明治の法律に逆戻り」 感染症専門家が罰則に反対する理由

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
新型コロナウイルスの緊急事態宣言で「不要不急」の外出は自粛が求められている=東京・銀座で2021年2月5日、丸山博撮影
新型コロナウイルスの緊急事態宣言で「不要不急」の外出は自粛が求められている=東京・銀座で2021年2月5日、丸山博撮影

 よくわからないうちに法律が変わった――。それが多くの人の印象なのではないか。入院を拒否した新型コロナウイルス感染症患者らに対し、罰則を新たに設ける一連の関連法改正のことである。個人の権利制限の妥当性などを巡って、関連学会や患者団体から反対の声明が相次いだにもかかわらず、わずか4日の国会審議で成立し13日に施行された。改めて考えたい。改正内容の何が問題で、今後どこに注意すべきなのか。日本公衆衛生学会の理事で、病院や保健所での勤務経験もある高鳥毛敏雄・関西大学社会安全学部教授に詳しく聞いた。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】

長年の努力を無にする「ちゃぶ台返し」

 ――感染症法などが改正され、これまで要請や指示にとどまっていた事業者の営業時間短縮や休業について「命令」が可能となり、従わない事業者に過料を科すことができるようになります。感染患者についても、入院拒否に50万円以下、保健所の調査を拒否した人にも30万円以下の過料を科すことができます。一連の法改正をどう評価しますか。

 ◆非常に問題があります。感染症患者や法律関係者らが長年にわたって続けてきた患者の権利回復のための闘いを無にするもので、公衆衛生の歴史から見れば「ちゃぶ台返し」の法改正と言っていいと思いますね。

 ――どういうことでしょう。

 ◆説明するにはまず、日本の感染症対策の歴史を振り返る必要があります。今回改正された感染症法は、1999年に施行された比較的新しい法律です。それまでは、明治30(1897)年にできた「伝染病予防法」が感染症の法律として、100年以上改正されないまま残っていました。

 伝染病予防法の成立当時は、感染症の治療法が無く、医療提供体制も整っていませんでした。感染拡大から社会を防衛するため、患者の人権や治療は二の次にして、強制的に隔離・収容することが優先されたわけです。

 国内で多くの患者や死者を出した最大の感染症である結核には、別の法律(結核予防法)が制定され、療養所や保健所をつくるなど、医学や医療の進歩が比較的取り入れられ、対処されてきました。しかし、結核以外の感染症は昔ながらの手法が残る形で、伝染病予防法がずっと適用されてきたのです。

 この状況が変化したのは、1980…

この記事は有料記事です。

残り3265文字(全文4204文字)

【新型コロナウイルス】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集