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#やまゆり園事件は終わったか

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#やまゆり園事件は終わったか

「何もできない子だと思い込んでいた」 園を出て気づけた誤解

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段ボールをリサイクルのためのラインに運ぶ壱成さん=神奈川県大和市のおうちCO-OPリサイクルセンターで2020年10月16日、上東麻子撮影
段ボールをリサイクルのためのラインに運ぶ壱成さん=神奈川県大和市のおうちCO-OPリサイクルセンターで2020年10月16日、上東麻子撮影

 津久井やまゆり園(神奈川県)では重い障害がある入所者19人が殺害された事件後、利用者の一部が別の施設やグループホームに移った。吉田壱成(いっせい)さん(27)もその一人だ。事件後、家族が施設での虐待を疑い、行政に情報開示請求をするなど調査をしてきた。しかし、「密室」の壁は厚く、調査はなかなか進展しない。そんな中、壱成さんには大きな変化が生まれていた。【上東麻子/統合デジタル取材センター】

原因不明のけがに不信感

 壱成さんは2013年に津久井やまゆり園に入所。重度の知的障害と行動障害がある。

 母・美香さん(47)が個人情報開示請求で取得した神奈川県厚木市の報告書「虐待通報に係る対応経過について」と美香さんの話から大けがの状況が浮かび上がる。

 2018年10月5日、美香さんが面会に行くと、壱成さんが右足を引きずり「痛い、痛い」と言いながら出てきた。職員に尋ねると「転んだか、他の利用者かだれかが踏みつけた可能性がある」と説明された。壱成さんは「(やまゆり園に)戻りたくない」と訴えた。病院で打撲と診断されたが、青いあざは足の根元から足先まで広範囲にわたり、腫れ上がっていた。

 園の家族向けの手紙によると、壱成さんがいた6寮では10月1日から20日までに入所者のけがが計5件あり、うち1件は骨折だった。美香さんは園の説明があいまいだと感じたという。

 これまでも帰宅した後に園に戻るのを度々嫌がっていた。虐待が疑われる。2年前に足を骨折した時も原因が不明なままだった。別の法人の施設で保護してもらうことになり、その過程で、関係者が壱成さんの住所地である厚木市に虐待通報した。

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