連載

社説

社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。

連載一覧

社説

バイデン氏の対中外交 同盟国との調整を綿密に

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 バイデン米大統領が就任して1カ月になる。外交では対中国政策に最優先で取り組む姿勢が鮮明になった。

 国務省での外交演説で中国を「最も重大な競争相手」と位置づけた。国防総省には軍事的な対中戦略の見直しを指示した。

 ホワイトハウスにインド太平洋調整官組織を新設した。国家安全保障会議(NSC)最大規模のチームになる。

 準備して臨んだ習近平中国国家主席との電話協議は、約2時間に及んだという。

 バイデン氏は台湾をめぐる緊張、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題に懸念を示し、習氏は中国の内政問題だと突っぱねた。

 同時に、新型コロナウイルス対策や気候変動問題、軍備不拡散についても意見交換したという。

 激しく対立しつつ、共通の利益も探る。「競争と協力」という対中外交の基本方針が見えてきた。問題は、それをどう政策に反映し、実現するかだ。

 トランプ前政権下で傷ついた同盟ネットワークを再構築することは重要だ。だが、そのアプローチには懸念もある。

 バイデン氏の通商政策は保護主義的な色彩が濃い。米国製品を優先的に調達し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への復帰も見送る。

 成長市場のアジアから距離を置けば、中国の影響力を強めるだけだ。日本やオーストラリアなどとの結束も緩みかねない。

 一方、民主主義や法の支配を旗印に、アジアと欧州の同盟国の枠組み作りも検討されている。インド太平洋地域で経済、軍事両面の連携を強化する構想だ。

 ただし、欧州には中国包囲網と映ることに警戒感が強い。中国の海洋進出には対抗するが、グローバル化の下で排除の論理を取れば経済的なリスクが膨らむからだ。

 米中の対立点は多岐にわたる。貿易戦争、デジタル覇権、南シナ海情勢などは、いずれも解決の糸口が見えない。

 競争を過度に強調すれば、協力の幅が狭まる。協力分野を広げ、対立を管理する手法が大事だ。

 米国のリーダーシップは重要だが、効果的に発揮するには同盟国との綿密な調整が欠かせない。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集