「なぜ残業代が出ないのか」 ベテラン教員が本当に訴えたいこと

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「教員の長時間労働に歯止めをかけられなかった世代のケジメとして、定時で帰れる学校を実現したい」と語る小学校教員の田中まさおさん(仮名)=埼玉県内で2021年2月7日午後5時43分、大久保昂撮影
「教員の長時間労働に歯止めをかけられなかった世代のケジメとして、定時で帰れる学校を実現したい」と語る小学校教員の田中まさおさん(仮名)=埼玉県内で2021年2月7日午後5時43分、大久保昂撮影

 公立学校の先生だけが残業代をもらえないのはおかしい――。埼玉県の公立小に勤める教員が、県に対し未払い賃金の支払いなどを求め、法廷で争っている。教員の働く環境を巡っては、長時間労働に歯止めがかからず、志願者が伸び悩むなど、危機的状況が指摘されて久しい。原告の田中まさおさん(61)=仮名=は2年前に定年退職後、再任用で教壇に立ち続ける。「『タダ働き』の問題に踏み込まなければ、根本的な解決はあり得ない」と訴える。【大久保昂/東京社会部】

「子どもは産めない」若い先生の切実な訴え

 ――さいたま地裁に提訴したのは、定年退職を半年後に控えた2018年9月でした。なぜ退職間際に裁判を起こしたのですか。

 ◆学校現場では長時間労働が当たり前になっており、過労や精神的なストレスで体調を崩す先生を何人も見てきました。こうした異常とも言える勤務形態を次の世代に引き継いではいけないと思ったのです。

 制度上、公立校の先生だけが残業代をもらえないことになっています。そうであれば、…

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