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G7のワクチン合意 多国間主義復権の試金石

 日米欧の主要7カ国(G7)の首脳がオンラインで緊急協議した。首脳声明では「2021年を多国間主義のための転換点とする」という決意を表明した。

 トランプ前米大統領の「米国第一」で深まったG7の亀裂を修復し、結束をアピールする狙いがあるのだろう。国際協調の正常な軌道に戻ったといえよう。

 G7は民主主義や法の支配の理念を共有し、世界の国内総生産(GDP)の4割超を占める。国際社会で担う役割は大きい。

 新型コロナウイルス危機や気候変動問題は国際協調なくして解決できない。指導力を発揮できるか真価が問われる局面だ。

 試金石になるのが、新型コロナワクチンの供給だろう。G7は国際的枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」に75億ドル(約7900億円)を拠出することで合意した。

 世界保健機関(WHO)が運用を主導し、主に途上国向けに約20億回分のワクチン確保を目指す。ただし、具体的な購買や配給の計画は決まっていない。

 自国優先の「ワクチンナショナリズム」が台頭する一方、中国やロシアなどによる低所得国への「ワクチン外交」が激化している。公平な配給ができるのかどうか懸念がある。

 先進国では接種が進み、途上国では手に入れるのが困難という「ワクチン格差」が拡大するおそれも否定できない。

 供給に大幅な遅れが出れば、中露の国際的な影響が強まることにも留意すべきだ。供給体制の整備を急ぐ必要がある。

 新型コロナの打撃を受けた世界経済の回復も大きな課題だ。G7が過去1年で景気対策に投入した総額は約6兆ドルにのぼるという。

 各国政府は今年、大幅なプラス成長への転換を目指している。そのためにもワクチンを行き届かせ、感染拡大を収束させることに全力を尽くさなければならない。

 成長分野の投資も必要だ。50年までの脱炭素社会を目指すには、クリーンエネルギーへの移行を推進することが求められる。

 国際協調の流れを確かなものにするために日本も責任を果たすべきだ。途上国の信頼が厚い日本ならではの支援ができるはずだ。

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