岸防衛相、各国との協議でじわり存在感 頻度は歴代トップクラス

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岸信夫防衛相 拡大
岸信夫防衛相

 岸信夫防衛相が外国国防閣僚らと活発に会談や協議を行い、存在感を強めている。新型コロナの感染拡大で閣僚とは電話協議やテレビ会議がほとんどだが、2020年9月の就任以来の約5カ月間で米英豪など各国との協議が17回、大使らとの対面会談が19回に及び、頻度は「歴代トップクラス」(防衛省幹部)という。

 会談や協議の相手は、米国を筆頭に、豪印両国やアジア関与を強める英独仏などを重視する一方、沖縄県・尖閣諸島で緊張感が高まる中国へは政府内でも強い姿勢が目立つ。法の支配や民主主義など価値観を共有する国・地域との連携を強化するため、防衛分野で独自外交を展開している。

 岸氏は米国のバイデン政権発足直後の1月24日、オースティン国防長官との電話協議を実現。首相や外相より早い協議で、強固な日米同盟や日本の防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が尖閣諸島に適用されることを確認した。協議はなごやかに進み、オースティン氏は協議後、ツイッターで「岸さん、一緒に働くのを楽しみにしています」と発信した。

 外交で存在感を発揮した安倍晋三前首相の実弟であることに加え、衆院外務委員長、副外相、自民党外交部会長など「外交族」の経験も長い岸氏。20年10月には来日したオーストラリアのレイノルズ国防相と会談するなど、日米豪印の連携強化を目指す。さらに、20年11月~今年1月には欧州各国との協議を重ねており、インド太平洋地域に今年、英国が空母「クイーン・エリザベス」、ドイツが海軍艦艇をそれぞれ派遣する方針を表明し、英空母は日本にも寄港する見通し。

 一方、中国には20年12月のテレビ会議で尖閣問題での強い懸念を表明。今年2月9日の米国のヤング駐日臨時代理大使との会談では、1日に施行された中国海警局の武器使用規定を明文化した「海警法」を「大きな疑念があり、断じて受け入れられない」と批判した。

 海警法への政府見解は当初、「国際法に反する運用があってはならない」との懸念表明にとどまっていた。岸氏周辺によると、「自衛隊が海上で中国公船に相対する可能性がある中、現場感覚からすると海警法は認められない」との思いがあり、厳しい表現になったという。政府の見解もその後表現が強まった。防衛省幹部らはインド太平洋構想で連携する米欧などとの連携や中国への強い姿勢の「ぶれのなさ」を評価し、各国との連携強化を期待している。【畠山嵩】

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