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カーボンプライシング 導入へ仕組み作り早急に

 「脱炭素社会」実現のため、具体的な議論を急ぐときだ。

 環境省と経済産業省が、カーボンプライシングの本格導入に向けた議論を始めた。それぞれ、年内に結論をまとめるという。

 二酸化炭素に値段をつけ、排出に費用負担を求める仕組みだ。負担を減らそうと排出削減に努める企業や消費者が増えれば、地球温暖化対策につながる。

 経済協力開発機構によれば、46カ国が採用している。日本も2012年、炭素税の一つ「地球温暖化対策税」を新設した。

 化石燃料の使用に課税され、国民も光熱費などの一部として支払っている。だが負担は諸外国の10分の1以下と低く、排出抑制につながっていない。

 政府は昨秋、「50年までに温室効果ガス排出の実質ゼロ」を宣言した。菅義偉首相は施政方針演説で「成長につながるカーボンプライシングに取り組む」と述べた。

 これまでは、前向きな環境省と、産業界の利益を代弁する経産省が対立し、議論が進まなかった。だが「実質ゼロ」達成には政策の後押しが不可欠だ。残された時間は限られている。

 産業界には、負担が増えて脱炭素に向けた研究開発や設備投資が進まない、との声がある。しかし、先行する北欧など欧州諸国は、負担を増やしながらも排出削減と経済成長の両方を実現している。

 目先の利害にとらわれ、ためらっている間に世界は脱炭素への取り組みを着々と進めている。その現実を見据えるべきだ。

 欧州連合は、炭素への規制が緩い国からの輸入品に課税する「炭素国境調整措置」を23年にも導入する。バイデン米大統領も同様の政策を掲げている。輸出で稼ぐ国内産業にとって、取り組みの遅れは致命傷につながる。

 企業に対して政府が排出上限を設定し、企業間で枠を売買する「排出量取引」も各国に広がっている。だが、日本での導入は東京都など一部の自治体にとどまる。全国規模で取り組むときだ。

 さまざまな手法をうまく組み合わせ、日本に合った仕組みを模索したい。体力に乏しい中小企業への配慮や、税収の使い道も検討が必要だ。着実に議論を進めていきたい。

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