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巨大ITとネット広告 個人情報乱用に歯止めを

 米グーグルなど巨大IT企業によるデータ寡占の弊害がインターネット広告にも及んでいる。公正取引委員会が公表したネット広告に関する最終報告書で、そんな実態が明らかになった。

 巨大IT企業はネット検索や会員制交流サイト(SNS)で集めた個人情報を広告配信事業に使い、巨額の利益をあげている。

 一方で、利用者の個人情報保護がないがしろにされたり、広告主らが不利な取引条件を押し付けられたりする問題が起きている。

 検索やSNSの利用規約には、サイト閲覧履歴や位置情報などの個人データを広告配信に活用する旨が記載されている。しかし、規約を全部読んだことのある利用者は1割以下にとどまるという。

 報告書は利用目的の説明が曖昧なまま取得した個人データを広告事業に使えば、独占禁止法に違反する「優越的地位の乱用」に当たる恐れがあると指摘した。

 また、巨大IT企業が広告主などに対して取引契約の一方的な変更を迫る場合も独禁法違反の可能性がある。広告掲載料や広告効果の算定基準が不透明な点も「公正な競争をゆがめかねない」と問題視している。

 検索で約8割のシェアを誇るグーグルは動画サイト「ユーチューブ」を抱え、広告仲介業や配信システムの運営も手掛ける。立場の弱い取引先企業は要求に従わなければ、ネット広告市場から事実上、締め出されかねない。

 サイトの価値は閲覧数が多いほど高まり、広告掲載料金も上がる。クリックの数を稼ぐため、刺激的な情報やフェイクニュースが横行すれば、消費者が正確な情報を受け取れなくなる懸念がある。

 ネット通販などの取引の透明化・公正化を促す新法が今月施行された。政府は今後、ネット広告分野の規制も追加する方針だ。

 日本のネット広告市場は2019年に2兆円超の規模に拡大し、テレビを抜いた。利用者が知らないまま個人情報が広告事業に乱用される事態に歯止めをかける措置が必要だ。

 広告は消費者に役立つ情報であってこそ価値がある。巨大IT企業は収益至上主義を改め、ネット広告の健全化に取り組まなければならない。

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